お父さんがアスペルガー症候群みたいだけど…障害は遺伝する?

お父さんがアスペルガー症候群みたいだけど…障害は遺伝する?

●親がアスペルガー症候群なら、子どももアスペルガー症候群?

知的な障害はみられない自閉症。アスペルガー症候群の人は、社会性・コミュニケーション能力・想像力に問題を抱えています。アスペルガー症候群という言葉、その症状世間一般に少しずつ知られるようになってきたことで、コミュニケーションの取り方に違和感を感じる人がいたときに「アスペルガーでは!?」と訝しい視線で見る場合もあるようです。

交際相手のお父さんの言動に馴染めないものがあって「アスペルガー症候群では!?」と思わなくても、何かおかしいということで言動をサイトでチェックし、「アスペルガー症候群」という言葉を知った人が、どんどんその症状の特徴をを検索していくと、「当てはまることが多い。アスペルガー症候群なのかもしれない。ということは、自分が交際している相手もアスペルガーなのかな。。。(子どもができたら、やっぱりアスペルガーかもしれない。どうしよう!?)」というように、ここまで極端にいきなり思い悩む人はいないかもしれませんが、

結婚や出産を考えたり、今後のことを考えて、相手がアスペルガー症候群だとすれば、回避しようとする場合も、現実に少なからずあるようです。アスペルガー症候群の原因については不明な点が多いのが実情です。医学的にまだまだ解明されていないことが多いのがアスペルガー症候群です。

●アスペルガー症候群を引き起こす遺伝子は見つかっていない

アスペルガー症候群の発病頻度は1000人中数名程度とされています。男女比は男性に多いと言われています。ただし、統計の具体的な数字に関しては、アスペルガー症候群に特徴的な対人関係の問題をどのように評価するかといった統計の取り方によって差異が出やすくなっています。

1000人に数名程度発病すると言われているアスペルガー症候群。発病には遺伝が関係しているのではないかとの報告もあります。両親にアスペルガー症候群の病歴がある場合、子どもにもアスペルガー症候群が発症することはあるとされています。ただし、両親ともにアスペルガー症候群の場合、対人関係の築き方を親から学んだ子どもに社会性の乏しさがみられても、遺伝とは言えないのではないかとの指摘もあります。

遺伝が関係しているのではないかという研究者がいるのは確かですが、アスペルガー症候群を引き起こす遺伝子が見つかっていないことも事実です。遺伝子研究はめざましく進歩していますが、現在、アスペルガー症候群との関連性が疑われる遺伝子が発見されていません。

●最も有力なのは脳の機能障害説

現在の医学では、アスペルガー症候群を引き起こすのは単独の原因ではないだろうと言われています。諸々ある原因の中で最も深く関わっているのは、脳の機能に何らかの先天的な障害があることだろうという説が、現在有力です。機能障害が生じた時期については、妊娠中や出産時、出生後ごく早期と、さまざまな説が出されており、確定した見解はまだありません。

どの時期に発生したかは未だ不明ですが、微妙な脳の機能障害があり、それに環境や遺伝的要因などが複雑に関与してアスペルガー症候群を発症すると考えられています。

現在行われているアスペルガー症候群の支援の取り組みは、脳の機能障害説を基本に考えられています。ただし、脳のどこに障害があるのかについても諸説あります。前頭前野、小脳、脳幹、扁桃体などが障害が起こっている部位ではないかと疑われ、現在研究が進められています。研究の真っ只中にあるのがアスペルガー症候群です。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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