●子どもの発達障害に対応できる病院
わが子は発達障害ではないか?
同じ年頃のお友達とうまく遊べないことから不安に駆られる保護者が増えてきたようです。
幼稚園や保育園の先生から「お友達の遊びの輪に入れません。」というような連絡を受けて戸惑う保護者も少なくないようです。
子どもの発達障害を診断できる医師として最も身近な存在は、小児科の医師です。
小児科にはたいてい小児神経専門医がいます。
小児神経専門医は発達障害の診断ができます。
全国にいる小児神経専門医はおおよそ1000名。
保健所や発達障害者支援センターで、小児神経専門医のいる病院を紹介してくれることもあります。
また、日本小児神経学会では、発達障害の診断だけでなく、治療や指導も担当できる小児神経医を発達障害診療医師名簿に記載しています。
2014年12月1日現在で発達障害診療医師名簿に記載されている医師は、全国で290名です。
●大人の発達障害に対応できる病院
子どもの発達障害に対応できる病院は都道府県ごとに最低でも4~5箇所はあるとされていますが、大人の発達障害に対応できる病院はきわめて少ないのが実情です。
子どもの発達障害に対応している病院に大人でも診てもらえるかどうかを問い合わせることも必要でしょう。
精神科や心療内科でも、発達障害を診られる医師がいるとは限らないのが現状です。
大人の発達障害に特化した外来を開設している病院としては、東京都世田谷区にある昭和大学附属烏山病院と東京都新宿区にある晴和病院が有名です。
マスコミでもたびたび取り上げられました。対人関係に悩んで発達障害ではないかと疑い、これらの病院を受診した人たちの約6割は、発達障害では無かったとの報告があります。
発達障害に詳しい発達障害者支援センターに事前に相談してみるのも、一つの手段でしょう。
●発達障害の診断を受ける際の心得
発達障害の疑いがあるのが子どもの場合、受診に際しては保護者の同伴が必要です。
幼稚園や保育園の先生も診察に同席することが望まれます。子どもが日常生活でどのようなことに困っているのかをさまざまな立場から知ることが診断には欠かせないためです。
大人になってから発達障害を疑って受診する際には、母子手帳、幼稚園や保育園などの連絡帳、小学校・中学校・高校の通信簿、卒業文章など、生育歴が分かる物を持参すると良いでしょう。
発達障害は大人になってから発症するものではありません。
問題を自覚するようになったのが最近のことであったとしても、現在の問題や抱えている困難さが子どもの頃の特性とどのように結びついているかを見極めることが必要です。
生育歴が分かる物を持参するか、養育者に同席してもらうことをお勧めします。
発達障害の診断ができる医療機関はまだまだ十分ではありません。
発達障害外来を開設していても、知能検査はかかりつけの病院で受けることを義務付けている病院もあります。
発達障害の診断はするものの、治療については紹介元病院に一任する病院もあります。
発達障害を診られる医師が転勤してしまい、後任の医師では発達障害が診られないというケースもあります。
発達障害者支援法が施行されて、発達障害の早期発見、教育や就労の支援を中心となって行う機関として発達障害者支援センターがつくられました。
発達障害で悩んだら、受診先の紹介や受診後の支援などの相談に発達障害者支援センターを利用すると良いでしょう。
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