アスペルガー症候群について正しく知っていますか?

アスペルガー症候群について正しく知っていますか?

●一見自閉症に見えない自閉症

アスペルガー症候群は自閉症の1つのタイプです。自閉症とアスペルガー症候群はひとつながりのもので、両者は厳然と区別されるものではありません。幼児期には典型的な自閉症の特徴を持つ子どもが思春期になってアスペルガー症候群の特徴を強く示すこともあります。

強いて区別するなら、アスペルガー症候群の人は、一見して障害があるようには見えないことが多いということです。話もできますし、勉強も人並み以上にできることがあります。人前で独り言を言ったり常同運動をしたりといった典型的な自閉症的行動をとる事がないこともあります。

アスペルガー症候群は一見自閉症に見えない自閉症といわれることもあります。しかし、アスペルガー症候群の人も自閉症の特徴である、社会性、コミュニケーション、想像力の3つに問題を抱えています。障害があると分かりづらいために、誤解されることもしばしばあります。

●人の中で浮いてしまう

アスペルガー症候群の人の人付き合いの特徴は、人の中で浮いてしまうというところにあります。幼児期には一人遊びが中心です。他の子どもと遊ぶことはあまりありません。

他の子どもと遊ぶ時には、年長の子どもにリードされたり年少の子どもに指示を出す形で遊ぶことが多いようです。他の子どもが自分の思い通りに動いてくれている間は一緒に遊べますが、自分の思い通りに動いてくれないと癇癪を起こして一人遊びに戻ってしまいます。同年齢の子どもと対等の相互的な遊びをすることがとても難しいと言えます。

アスペルガー症候群の子どもは、仲間内の暗黙のルールが分かりません。そのため、他の子どもから嫌われたりいじめられることが少なくありません。また、他の人との接し方のルールが分からず、周囲の人に対して迷惑なことをしてしまうこともしばしばあります。誰彼構わず質問を浴びせかけることもあります。自分の関心があることを一方的に話し続けることもあります。

●想定外の出来事に混乱する

アスペルガー症候群の人は想像力に障害があります。小さい頃はごっこ遊びが苦手です。物まねは得意ですが、自分が何かになったつもりになって、他の子どもと相互的に遊びを楽しむことが難しいと言えます。

一人遊びが増え、同じことの繰り返しを喜びます。いろいろな物を集めることも好みます。行動パターンを完全に決める場合もあります。時間割が変更したり教師が突然欠勤すると、不安を感じたり癇癪を起こしたりすることもあります。

●曖昧な問いに困惑する

アスペルガー症候群の人は言葉を持っています。しかし、会話のやり取りが長続きしません。「今日はどうやって来たの?」と問われると、家を出た正確な時間から始めて途中に乗った乗り物を全て正確に話したりします。「電車で来ました。」というような答えがなかなかできません。

どれが大事な情報でどれが枝葉末節な情報かということがうまく選べず、回りくどい話し方をして、相手をうんざりさせることもあります。アスペルガー症候群の人が最も苦手とするのが、「最近はどう?」というような曖昧な問いです。

その言葉が出た場面で何が話題になっているのかというような言外の意味を汲み取ることが苦手です。「どうというのは、何を尋ねているのですか?体調のことですか?勉強のことですか?家族との関係のことですか?」と言う感じで、より具体的な事についての追及をしてしまったりします。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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