子どもの発するサインに気づき早期診断を!子どものアスペルガー症候群

子どもの発するサインに気づき早期診断を!子どものアスペルガー症候群

●アスペルガー症候群の子どもが発する3つのサイン

一見して障害があるように見えない自閉症。それがアスペルガー症候群です。アスペルガー症候群の子どもは、話もできます。知的な遅れも見られません。そのため、特性が現れていても、「ちょっと風変わりなところがあるけれど、この子の個性よね」という形でやり過ごされてしまうことも少なくないようです。しかし、アスペルガー症候群の子どもは、その障害ゆえに困っています。子どもの発するサインを受け止めてあげたいものです。

アスペルガー症候群の子どもが発するサインには、次の3つがあります。

1.友達の輪に入ろうとしない。アスペルガー症候群の子どもは、自分と同年齢の子どもと遊ぶのが苦手です。一人遊びが多く、他の子どもと遊ぶ時には、自分の言うことを聞いてくれる年長者や年少者を選ぶ傾向があります。友達が遊びの輪に入るように誘うと、苦痛に感じることもあります。

2.空気が読めない。アスペルガー症候群の子どもは、具体的に言われないと理解できません。「そちらを向いたらダメよ」と言われると、「だったら、どっちを向いたらいいの⁉︎」と混乱します。「前を向きましょうね」というように具体的に指示することが子どもの混乱を防ぎます。アスペルガー症候群の子どもは、言われたことはきっちりとできます。指示はできるだけ具体的に出すことが大切です。

3.授業等長時間拘束される状況で集中力を保つのが難しい。先生が直ぐ前にいる環境の方が集中しやすいと言えます。座席は前にしてもらうと良いでしょう。

●アスペルガー症候群の子どもが示す高い能力

アスペルガー症候群の子どもは、数字や記号等、規則性のあるものに興味を示すことが多いと言われています。一旦興味を抱いた分野については驚くほどの量の情報を覚えることもしばしばあります。大人顔負けの知識量を示すこともあります。興味を示したことについて調べたり覚えたりするのを温かく見守って応援してあげましょう。

ただし、自分にとって関心があることでも、他人は必ずしも関心を持つとは限らないということも、教える必要があります。見ず知らずの他人に自分の関心事項を一方的に話し続けたりしないように、人との接し方を教えることが大切です。

●診断は子どもの自己肯定感を築くため

アスペルガー症候群の子どもは、話もできますし、勉強も人並み以上にできることもあります。そのため、診断が遅れる傾向があります。就学前後から集団生活に馴染めない様子がはっきりしてきて、先生からアスペルガー症候群の可能性を指摘されることもあるようです。「まだ、新しい環境に馴染んでいないだけ」「うちの子はちょっと変わっているけど、これも個性」というような対応は、親子ともに辛い日々を重ねることになりかねません。

診断を「レッテル貼り」「限界の宣告」と受け止める傾向は未だにあります。保護者だけでなく、幼稚園や保育園、学校の先生にも、このような傾向は認められるようです。保護者が子どもの発達精神医学診断を伝えても、「子どもは丸ごと受け止めてこそ全人教育。診断名をつけて子どもを選別するようなことはしたくない。」という先生もいます。

しかし、適切な支援のためには正確な評価が欠かせません。アスペルガー症候群の子どもが、自己肯定感を築き、自分の人生が実り多いものであると信じられるようにするには、早期に正確な診断を受けることが大切です。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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