発達障害の治療とは?

発達障害の治療とは?

●治療の目標

発達障害は脳の機能の発達に偏りが生じることによって起こります。脳の機能に偏りがあるために、社会生活を送るうえで問題を抱えることがあります。
発達障害を根本から治すことはできませんが、治療によって社会生活を送るうえで抱えている問題を減らすことはできます。
発達障害の治療の目標は、社会生活がうまく送れないために失っている自信を取り戻し、充実した社会生活を送れるようになることです。

発達障害の治療では、障害をお持ちの方が自身が生活の中で難しいと感じていることを理解し、対処する方法を身につけることが大切になってきます。

また、自分の身の周りの方が、障害を理解してくれるサポーターとなってくれることも重要です。

 

●ペアレントトレーニングの重要性

ペアレントトレーニングとは、支援者である親に発達障害の子どもの特性や対応法を理解してもらい、親の教育方法を発達障害の症状に合わせて変えていくトレーニングのことです。

発達障害の子どもに対して肯定的な声かけを行い、伝わりやすい指示を出すことを身近な人が行うという方法です。発達障害の子どもの治療では、最初に行われるのがペアレントトレーニングです。ペアレントトレーニングは、大人の発達障害の治療でも応用することが望ましいとされます。

気をつけて欲しいことを周囲の人に伝えることで、不要なトラブルを避け、周囲の人とより良い関係を築くことができます。

●さまざまな治療方法

発達障害の治療では、心理療法、行動療法、薬物療法が組み合わされます。

心理療法は、臨床心理士や医師によるカウンセリングをはじめ、対話を通して問題点を明らかにし、発達障害による問題となってしまう行動を減らしていく方針を立て、改善を促していく治療法です。

行動療法は、一般的な言動を初歩から丁寧に教えて、かつ実践していく治療法です。

話し方を練習するコミュニケーション訓練、人間関係の築き方を学ぶソーシャル・スキル・トレーニングなどが知られています。
薬を使った治療法のことを、薬物療法と言います。発達障害の影響によって現れる症状を緩和する目的で薬を用います。基本的に発達障害は脳の機能障害ですので、それを薬を使って補います。また、二次障害としてうつ状態であるならば抗不安薬、攻撃性が強く出ている時には抗精神病薬などがよく使用されます。

特定の症状を抑えるための補助的な治療法として薬が選択されます。

日常生活で困っていた状態が改善され、良い状態が十分な期間維持できると、薬の減量や中断が検討されます。薬の中断はタイミングが大切です。焦らず、必ず主治医と相談して決めることが大切です。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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