発達障害とはどのようなものか?
発達障害とは脳の機能障害の一種です。
先天的な特性で、行動に偏りがあったり苦手なことがあったりします。
100人に数人の割合で発達障害の人はいるとの統計もあります。
発達障害には、大きく分けて広汎性発達障害、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3種類があるとされています。
広汎性発達障害は、自閉症とアスペルガー症候群を含みます。場の空気を読んだり、相手の感情を仕草や表情から読み取ったりすることが苦手です。
また、次にどのようなことが起こるのかを想像することが困難なため、想定外の事態が生じた時に激しく動揺します。
こだわりが強かったり興味の幅が狭かったりという特徴も指摘されています。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、集中力や注意力が散漫で、じっとしていられないのが特徴です。
考えるよりも先に体が動いてしまうといった衝動性が見られます。
思いつきで行動しやすく、うっかりミスが少なくありません。
学習障害(LD)の場合、書く、読む、計算する、聞くといった能力の中で、特定の分野に著しい不得意さが見られます。
そのため、作業の飲み込みが遅いことがしばしばありますが、知的な遅れはありません。
能力に著しい偏りが見られるのが特徴です。
大人の発達障害の5つの特徴
大人になってから発達障害ということが分かった人に共通して見られる特徴としては、次の5つが指摘されています。
1.何かに夢中になっていると「人の話を聞いていない」と言われるくらい集中する。その集中力は数日でも続く。
2.自分では気を使っているつもりなのに、「天然」「馬鹿正直」「はっきり言い過ぎる」と言われることがたびたびある。
3.「空気が読めない」と指摘されることがあったり、「ユニーク」「不思議ちゃん」「宇宙人」と言われたりすることがある。
4.他の人に対して冷淡だったり干渉的になったりと、結果としてバランスを欠いた対人関係の行動パターンとなることが多い。
5.物を捨てられなかったり、物の置き場所に自分なりの決まりがあったりと、他の人には理解されにくい物への執着がある。
大人の発達障害の大きな問題
近年、大人になってから発達障害が見つかるというケースが増えています。
大人になってから発達障害が分かったという人の数は、5年前の6.5倍になっているとの調査結果もあります。
学校生活を送っている間は、少々風変わりな子供とみなされるだけで済んでいたり個性ととらえられていたりして、大きな対人トラブルを引き起こすことが無かったために、発達障害が気づかれないまま成人したという人は少なくありません。
社会に出て初めて対人関係で大きな問題に突き当たるケースも多いようです。
臨機応変な対応が求められる職に就いて失敗を繰り返し、自己評価を下げてうつ病を発症することもあります。
職場の上司や同僚とのコミュニケーションがうまく取れずに職場で浮いてしまうこともあります。
大人の発達障害で大きな問題となるのは、発達障害が引き起こす対人関係の困難さがしばしば二次障害を引き起こすということです。
うつ病や不安障害、強迫症状を発症することや、頭痛や吐き気といった身体症状を引き起こすこともあります。
そのような二次障害の治療のために心療内科や精神科を受診して、背後に発達障害の問題があることを指摘されるケースが多いようです。
(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)
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