ADHDのかたの必読書!?『今も元気なトットちゃん』

ADHDのかたの必読書!?『今も元気なトットちゃん』

●大きな反響を呼んだ『窓ぎわのトットちゃん』

「徹子の部屋」でお馴染みの女優黒柳徹子さんの自伝『窓ぎわのトットちゃん』。発行部数累計770万部に及ぶ戦後最大のベストセラーです。

皆さんは『窓ぎわのトットちゃん』はご存知ですか?

物語は、トットちゃんが公立小学校を退学させられてしまうところから始まります。退学の理由は、トットちゃんの言動が授業妨害になっているということ。教室に並べられている蓋つきの机が珍しく、蓋を繰り返し開け閉めすることに興じるトットちゃん。
用が無いのに開け閉めしてはいけないと注意されると、文房具を全て机の中に仕舞い込み、一字書いては蓋を開け閉めして必要な文房具を取り出します。
バタンバタンという忙しい音に先生の注意が繰り返されます。机の蓋を開け閉めしてはいけないと注意されると、窓ぎわに立って、チンドン屋さんを教室に呼び込んでしまったり、鳥に話しかけたり。

トットちゃんには、どうしてそれがいけないことなのか分かりません。しかし、自分がなんとなく冷たい目で見られているということは、心のどこかで感じています。

転校することになったトットちゃん。

新しい小学校トモエ学園での初日。校長先生に好きなだけ話して良いと言われ、トットちゃんは誰憚ることなく話し続けます。聞き入る校長先生。トットちゃんが話し終えたのは4時間後。自分の話をきちんと聞いてくれる大人の存在にトットちゃんは安心します。

●共感ポイント満載の1冊

『窓ぎわのトットちゃん』は、ADHD当事者が読むと共感ポイント満載の1冊だそうです。共感するとともに、このような良き理解者がADHD者の周りにいるのだと勇気を貰えるとも言います。

発達障害の子どもを育てている人にとっては、『窓ぎわのトットちゃん』は、バイブルのような存在だとも言われています。発達障害の子どもを萎縮させず、特性を個性に昇華させる接し方のヒントが散りばめられている1冊です。

トットちゃんを迎え入れてくれたトモエ学園の校長先生は、トットちゃんに繰り返し声を掛けます。

「きみは、本当は、いい子なんだよ。」

すべてを肯定してくれた校長先生の元でまっすぐに育ったトットちゃん。「本当は」の意味に大人になってから気づいたと、黒柳さんは語っています。

周囲のサポートが本人のやる気を引き出し、本人の努力が周囲の声援につながった好例と言えるでしょう。

●障害を個性に変えることは可能!

黒柳徹子さんは、テレビ誕生と同時に生まれたテレビタレントであり、今なおテレビ番組のレギュラーを継続している唯一のタレントです。黒柳さん初の主演となったラジオドラマは、日本のラジオドラマ史上初めて大人の女性が子どもの声を演じた番組です。

新しいことに果敢に挑戦する黒柳徹子さん。

さまざまな「初めて」を生み出しています。いろいろなテレビ番組で司会を務める他、ユニセフ親善大使も務め、パンダ保護にも長年携わるなど、幅広い分野で活躍する黒柳徹子さん。少女のような好奇心、みなぎる行動力で多くの人を勇気付けています。

ADHDは、注意散漫、多動性、衝動性を特徴とする発達障害です。

気が散りやすいを好奇心旺盛に、落ち着きがないをエネルギッシュに、後先考えずに動くをチャレンジ精神旺盛に、それぞれ書き換えることは可能です。

書き換えはたやすくはないかもしれません。

しかし、周囲の理解と本人の努力によって障害を個性に昇華していけるということを、黒柳徹子さんの人生は教えてくれます。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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