自閉症のサインかもしれない! クレーン現象ってなに?

自閉症のサインかもしれない! クレーン現象ってなに?

●クレーン現象って?

絵本の読み聞かせをしてあげている時、お子さんがお母さんの手を絵に持っていったりすることはないですか?戸惑いながらも「これ?これは犬さんね。にこにこしているわね。」というふうに言葉掛けをしてみて「どうやらこの絵が気になったのね。」と納得するということはないでしょうか?

自分で指差しをする代わりにお母さんの手を自分の関心のある物に直に持っていく。そのような現象はクレーン現象と呼ばれています。自分の手を使わず、周りの人間の手を扱って意思表示する様子がクレーンを連想させることから「クレーン現象」と言われています。

自分はこれに関心がある、自分はこうして欲しいという意思を表す手段として、周りの人間の手を興味の対象に持っていく現象です。

●クレーン現象は自閉症のサイン⁉︎

言葉がまだ使えない幼い子どもや健常なお子さんにもクレーン現象はしばしば見られます。言葉が出るようになると、クレーン現象は徐々に消えていきます。大人の手を動かしながら、大人の顔を見上げて声を出しつつ自分の要求を伝えようとしているのなら、別段自閉症を疑うような仕草ではないと言えるでしょう。手を動かすことで自分の要求が伝わりやすいと感じているのかもしれません。

しかし、手だけに注意が集中しているようなら、子どもの様子を観察しましょう。大人の顔を見ようともせず、声も出さず、いきなり手だけを動かそうとしていませんか?テーブルの下にあった手を引きずり出すようなことはしていませんか?握っている手を無理やりこじ開けて何かを持たせようとしてはいないでしょうか?もしも、そのような素振りが見られたら要注意です。 自閉症のサインかもしれません。

自閉症の子どもは、何かをして欲しい時、して欲しい相手よりも、して欲しいモノに強い関心を寄せると考えられています。モノの象徴が周りの大人の手です。手を持っている人間には関心が乏しいのです。人間への関心の乏しさが相手の気持ちに構わず手を動かすという動作につながっていると考えられています。

●クレーン現象が見られたらどうしたらいいの?

クレーン現象は1~1歳半頃から見られることが多いと言われています。言葉を習得するにつれて消えていく一過性の現象とされています。言葉の発達が遅れることが多い自閉症の子どもにとっては、大切な意思表示の手段です。無理やり直そうとしないで、可能な限り要求には応えてあげましょう。

クレーン現象は自閉症の結果として現れている可能性があります。原因ではありません。クレーン現象を直したから自閉症が治るわけではありません。大人の顔も見ようとせずに手だけを動かすようなら、子どもの手をとって指差しの形を作って一緒に指差しをしてやるというように指差しを覚えさせることも大切でしょう。言葉が出やすいように言葉掛けをたくさんしてあげることも必要です。

そして、気になる様子は1歳半健診の時に医師に相談してみましょう。健診が終わった後も、気になることは掛かりつけの小児科医や保健所に相談しましょう。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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