●一次障害と二次障害
ADHDは発達障害の一つであり、注意欠陥が優勢なタイプと多動が優勢なタイプ、またはその二つが混合したタイプの3つの型があります。
注意力を持続していられることや、じっとしていられることは日常生活において、必要なスキルにはなりますが、注意力が持続できない、じっとしていられないという症状が強いと、「学校」や「職場」などで問題を抱えてしまいやすい傾向が出てきます。
このように発達障害の症状によって直面しやすい生活面の困難さを、一次障害と呼びます。
一方で、発達障害の症状によって周りとの関係がうまくいかなくなり、いじめを受けたり、周りの人の厳しい態度を引きだしてしまうこともあります。
その結果本人の自尊心や自己肯定感が著しく低下したり、他者に対する信頼感を抱けなくなってしまったり、外出時の不安感が大きくなってしまうなどの問題がさらに引き起こされてしまうこともあります。
このような問題がある状態を二次障害と呼びます。
●二次障害の様々な形
二次障害とは、一次障害にうまく対応できないことによって引き起こされた問題のことになります。
たとえば、「じっとしていることができない」という一次障害をもっている小学生の子がいたとします。
その一次障害への対応が学校でうまくできておらず、「じっとしてしられない」という理由から「いじめ」をうけたり、自信喪失から「不登校」になったりすることが二次障害となります。
二次障害には具体的に以下のようなものがあります。
・うつ病
・不安障害
・不登校
・引きこもり
・対人恐怖症
二次障害は様々な形で表れます。
家庭内での暴言や暴力、年少時あるいは力の弱い者に対する攻撃性の発揮も二次障害の表れである場合もあります。
もちろん、これらのような変化が見られた時には、必ず二次障害があると断定することはできません。
しかし、日頃の生活から大きく変化するようなことが見られた場合は、何らかの二次障害を抱えているかもしれないと考えることが大切です。
ADHDを抱えている人であっても、いつも同じようなADHDの症状が出ているわけではありません。
症状が和らいでいる時もあれば、症状が強く出ている時もあります。
普段よりも強くADHDの症状が出ているような時は、一次障害だけでなく二次障害が発生している可能性を考える必要があります。
●二次障害に気付いたら
お子さんや大切な家族の誰かが二次障害に苦しんでいることに気付いた時に大切なことは、「学校」や「職場」など本人を取り巻く環境のなかで、サポートしてもらえる体制をつくることです。
時には医療機関を受診して、周りに対してどのように説明をしたらいいのかを相談することも大切なことです。
ただし、周りに支援を求めすぎると、ADHDを抱える本人に対しての偏見、差別意識を強めてしまう場合もありますので注意が必要です。
しかし、障害に対する理解が得られないことで、本人が不用意に傷つけられ、その結果として深刻な二次障害を引き起こしてしまうことよりは、周りの方に対して説明を行い、理解と支援を求めていくということは、本人にとっても周りの人にとっても必要なことになります。
もちろんどのように動くにせよ、本人の意思を尊重することが大切です。
本人の意思を無視して、無理に支援を求めて行動を起こしてしますと、そのこと自体が二次障害を引き起こしてしまうことがあります。
まずは本人がどのような状態に陥っており、どのような支援を必要としているのか、それを理解していくことが大切です。
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