リストカット・自傷行為に対して家族が取るべき対応とは

リストカット・自傷行為に対して家族が取るべき対応とは

もし大切なわが子や、自分の親友、恋人がリストカットをしていたら、いったんどんな対応をすればよいのでしょうか。

人によっては、リスカをやめるように約束させたり、保有しているカッターナイフや刃物類をすべて没収し、隠したりし、強引にリストカットを止めさせようとするかもしれません。

しかし、リスカを行っている当事者のことを思ってのこととはいえ、一方的な約束や強引な対応では根本的な問題の解決にはならず、より一層感情的な対立を生み出したり、本人を追い詰めてしまうことになるケースも少なくありません。

リストカットをさせないためには、どのような対応をすればよいのか、周りの方は大変悩まれていると思います。自分の大事な人が手首から血を流しているのを見る、腕に切り刻まれた傷痕を見ると、大変ショッキングで悲しくなり痛ましい気持ちになるかとは思います。

そこで、すぐにでもリストカットをやめさせたいと考えるのは、とても自然なことです。

しかし、対応方法によっては、リストカットの衝動をより強めてしまう危険性があるので、対応方法に工夫が必要となります。

どのような対応は避けるべきか、どのような対応をすればよいのか見ていきましょう。

●リストカットへの避けるべき対応

リストカットは、本人の無言の叫びのようなものです。
言葉にできない苦悩の気持ちを、自分の血を流すことによって、その行為、痛み、傷痕によって表現しているのだと考えられます。

自分の苦しい気持ちを表現する手段、紛らわせる手段がリストカットという自傷行為になっているといえます。

そんなリストカットを行う当事者にとって、リストカットを否定される、止めさせられるということは、苦しさを解消する唯一の手段を失うことと言い換えられるかもしれません。

「何てことをしているんだ!」
「辛いからって、そんなことはするな!」
「狂っているんじゃないか!」

などと言った言葉で否定したりするのは本当によくないことです。リストカットをする本人のことを心配して、なんとかやめさせたいと思っての言葉であっても、本人の行動を否定し、理解せず、ただひたすら変えようとするような言動は、問題の解決に繋がることはほとんどありません。むしろ悪化するケースが多いです。

リストカットを行っている当事者の周りにいるご家族がやるべきことは、話を聴いてあげること、安らげる環境を作ってあげることにあります。

ストレス状態が続いていて、何らかの嫌なこと、辛いことがあると、その解消方法がリストカットだけになってしまっているのだから、そうならないように環境や対応を変化させていくことが大切になってきます。間違っても、無理に自傷行為を止めさせようとはしないようにしてください。

●リストカットへの対応の仕方

では、どんな対応をすればいいのでしょうか。

リストカットをしている人への対応で、一番大切なことはその苦しみ、辛さを理解し、「共感」することです。

もし、あなたの大切な人がリストカットをしていたら、「辛かったね」「苦しかったね」と共感や理解を示してあげることが最も大切なことになります。リストカットの行為を肯定するというわけではなく、そうせざるを得ない状況にまで追い詰められてしまっている、苦しんでいる、その状態に対して、肯定するという意味合いです。

正直なところ、リストカットをしたことがない人にとっては、自傷行為を行う人の気持ちがどのようなものなのか、まったく同じ状況になったことが無いわけなので、実際のところはリストカットをする本人の辛さがどのくらいのものかは分からないところもあると思います。

ただ、そうであったとしても、「リストカットをするくらい辛かったんだね。」と、その状態まで追い詰められても頑張って生きていることに対して、理解、共感をしてあげることが大切です。

これまでリスカについては一方的に批判されたり反対されるだけだった当事者にとって、その誰にも理解してもらえなかった行為を受け止めてもらえたということだけでも、小さな安心となっていきます。

まずは、本人の気持ちを受け止めたところで、何か辛いこと、苦しいことが続いているのか、その苦しみ、虚無感を緩和するためにはどうやっていけばいいか、そういったことを専門の医師や臨床心理士の方と一緒に探っていき、リストカットをしなくて済む方法を一緒に考えていくことが大切です。

リストカットをするほど苦しくなっている時に、ただやめさせようと強引な対応をしてしまえば、本人は自分を守るためにどんどん殻に閉じこもってしまうかもしれません。

まずは、リストカットをするほど苦しくなっている本人への共感や理解の言葉をかけてあげていただければ、少しずつ状況は変わっていくはずです。

(執筆:Koh, 監修:臨床心理士 鏡元)

【関連記事】
リストカットの心理
毒親になりがちな人の3つのNG行動
子どもにとっては虐待に!?『毒親』の3つのタイプ
子供の人生に悪い影響が!毒親の子どもの3つの影響
毒親の代表格「モラ母」!? 4つの特徴的な行動

【その他】カテゴリの最新記事