うつ病と性格の関係を臨床心理士が解説してみました。

うつ病と性格の関係を臨床心理士が解説してみました。

うつ病になる原因は多岐にわたります。

たとえば性格、遺伝、生活や環境の変化、時代の変化、脳の機能不全などが複合的に絡み合いおこります。

しかし、近年の研究ではうつ病になった人の発症前の性格にいくつか共通点があることが示唆されています。

その中でも代表的なものは次の3つです。

一つは、ドイツの精神科医クレッチマーの言う循環性格というもので、親切、善良、温厚、明朗、活発、社交的である一方、物静かで気弱といった反対の性格を併せ持っている人です。

このタイプの人は八方美人で物事を決められない葛藤から鬱病になりやすいと言われています。

次にドイツの精神病理学者テレンバッハが提唱した「メランコリー親和型性格」というものがあります。

これは真面目で勤勉、そして物事を正確に綿密にこなすタイプで、良心的で責任感が強く、秩序を重んじて、対人関係では衝突を避け、他人に尽くそうとする性格の人です。

こういう人たちは、がんばりすぎてしまいやすいので過剰な負荷がかかりやすく、秩序を重んじ変化を好まない性格のため、環境変化等の影響を受けやすく、うつ病になりやすいと言われています。

最後は精神病理学者の下田光造が躁うつ病者の病前性格として提唱した執着性格というものです。これは最初の「メランコリー親和型性格」とよく似ている性格で、几帳面で真面目、責任感や正義感が強く、凝り性で仕事熱心名人です。この執着性格の人は、なにごとも完璧にやらなければ気がすみません。

ですので、責任感が強く仕事熱心なあまり、働きすぎてうまく休みことができず、疲れ果ててうつ病になりやすいといわれています。

ですがこれらの性格は、悪いとか、性格を変える必要があるというものではなく、自分の性格、気質を理解し、どういうストレスの解消の仕方、物の捉え方をしていくか、そういうことを意識していくことで、心の状態を保つことが必要になってきます。

現代人のうつ病では、ストレスを自分の中でため込んでしまうことが起因となって、様々なうつの症状に見舞われるということが少なくありません。

同じようなストレス環境にあっても、うつを発症する人と発症しない人がいるのは、性格や物事の受け止め方などが異なるからです。

自分の中にいろいろと溜めこんでしまいがちな人は、まずはしっかりと休むこと、ストレスの原因となる状況から身を置くことで、症状が緩和することもあります。

自分がうつ病なのか、自分の性格の問題なのか、そういうことがなかなかわからないことも多いです。そういう場合は、まずはじっくりと休み、それでもなかなか体調が戻らない場合は、一度病院の先生に診てもらっても良いと思います。

臨床心理士 鏡 元 (かがみ げん)

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