増えるうつ病の子ども 23%の中学生にうつの症状が!?

増えるうつ病の子ども 23%の中学生にうつの症状が!?

●中学生の約4人に1人が抑うつ傾向

子どもたちにうつ病が増えてきているということをご存知ですか?北海道大学が約2万人の小中学生を対象に調査した結果によると、小学生の約8%、中学生では約23%が抑うつ傾向にあるそうです。

また、うつ病を発症していると思われる子どもは、小学生の1.6%、中学生の4.6%と推測されています。4.6%という数値は、大人のうつ病の発症率に迫るものです。

増えてきている子どものうつ病の背景にはどのようなことがあるのでしょうか?また、症状に大人のうつ病と異なる特徴があるのでしょうか?

●指摘される発達障害との関係

子どものうつ病は、発達障害と関係があると考えられています。発達障害の子どもは、幼い頃から親や周りの大人に叱られることも多く、友達から誤解されることも少なくないため、自己評価が低い傾向があります。

「自分はダメな人間だ。」「自分なんかいなくなればいいんだ!」と自分を責めることもしばしばあります。発達障害が原因で出来ないことがあるということを理解されていないと、自己評価は一層低くなります。うつ病を発症し、受診によって発達障害が背景にあることが分かるケースは、今でも少なくないないようです。

●子どものうつ病に多い自殺

心身ともに発達過程にある子どもは、落ち込んだ気持ちを言葉でうまく表現することができません。友達と遊ぶのを避けて自宅に引きこもったり、口数が減ってイライラした様子を見せたりします。集中力が低下して成績が落ちるという形で現れることもあります。

頭痛、腹痛、吐き気、めまいといった身体症状が表面に現れることも少なくありません。登校拒否という形をとることもあります。

女の子の場合は、すぐに泣き叫ぶようになったり物を壊したりするようになったら注意が必要です。男の子の場合は、親に暴力を振るい始めたら要注意だと言われています。

女の子にしても、男の子にしても、自分の気持ちをうまく言葉で表現できない子どもの場合、うつ病に罹って最も心配なのが自殺の危険性です。子どもは遺書を残すことなく自殺します。遺族は理由も分からず、途方にくれることが少なくありません。

生きている価値がない、みんなに迷惑をかけている、自分なんか生まれて来なければ良かったという類のことを口にしたら、自殺のサインです。子どもの辛い気持ちを受け止め、「あなたは大切な人なのだ」というメッセージを力強く伝える必要があります。

心療内科や精神科を受診することも必要でしょう。ただし、抗うつ薬として良く用いられるSSRIは、副作用で焦りや衝動性が強まることがあるとされています。特に服用し始めて1ヶ月くらいは副作用が出やすく、自殺を図ることもあると言われています。

安易に抗うつ薬の処方を要求するのは控えましょう。子どものうつ病治療では心理療法を主体にするのが良いとされています

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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