うつ病の原因と症状まとめ-知っておきたい2つの治療方法

うつ病の原因と症状まとめ-知っておきたい2つの治療方法

ココポイント

・現代では8人に1人は生涯のうちにうつ病を経験する
・うつ病の治療には「薬物療法」と「認知行動療法」がある
・うつ病から回復するために大切な姿勢は「急がず、焦らず、着実に」

うつ病の蔓延

ストレスがいたるところにあふれかえっている日本社会。
人間関係や仕事、睡眠不足だったり、何かとストレスを感じやすい現代では
こころの病気にかかってしまう人が増えてきています。

厚生労働省によると、平成8年(1996)に218万人だった精神疾患の患者数は平成23年(2011)には320万人に増加しました。加えて、現代では8人に1人が生涯のうちにうつ病を経験するとされています。

うつ病の症状

うつ病の症状は、憂うつ感、不安感、気力や思考力の低下などの精神的な症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、精神的な症状だけではなく、耳鳴りやめまい、息苦しさ、吐き気と身体に症状がでることも珍しくありません。

精神の症状

・何をしても楽しくない
・興味がわかない
・むなしい
・悲観的なことばかり頭に浮かぶ
・イライラする
・食欲がわかない

身体の症状

・睡眠障害
・身体がだるくなる
・肩のこり、背中の痛み
・頭痛
・便秘
・下痢
・体の痛みやしびれ

うつ病の治療

うつ病の治療には、大きく分けて「薬物療法」と「認知行動療法」があります。

「薬物療法」、言い換えれば、くすりによる治療です。
うつ病になると、脳の中で気分や意欲にかかわる脳内物質が減少し、脳が正しく働いてくれなくなります。
この脳内物質の働きを活発にするための薬が、「抗うつ薬」と呼ばれるものです。
抗うつ薬を用いて、脳がいつも通り働いてくれる状態に戻そうとする治療を「薬物療法」と言います。

うつ病の原因として、その人自身の考え方のクセが影響している場合があります。
その場合には、うつ病の再発を防ぐためにも、ストレスをうまくコントロールできるような考え方に変えていくことが大切になります。

「認知行動療法」は、自分自身で新しい考え方を考え出し、ストレスを調整できる考え方を身につけるサポートをする治療法です。
うつ病にかかると、運動する意欲も低下し、生活リズムが崩れがちになります。運動や食生活から、ストレスに強くなる生活習慣を身に付けるサポートを合わせて行うこともあります。

うつ病から回復するために知っておいてほしいこと

もしうつ病にかかったら、早く治りたい、早く仕事に戻りたいという気持ちになることもありますが、うつ病の回復には時間がかかります。体の風邪のように「薬飲んだから大丈夫」とはならないのです。

大切なことは、時間がかかると聞いてもどかしく感じず、焦らずゆっくりと治療を進めることです。
こころの病気は、からだの病気のように治ったかどうか見てわかるものではありません。
こころに負った傷が治りきっていないときに、焦って行動を起こしてしまうと、ちょっとしたきっかけで傷口がまた開いてしまうかもしれません。

うつ病から回復するために大切なことは
「急がず、焦らず、着実に」です。

(執筆:Koh,監修臨床心理士 鏡 元)

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