「うつ病の初診はどんな感じなの?」精神科勤務の臨床心理士がお答えします。

「うつ病の初診はどんな感じなの?」精神科勤務の臨床心理士がお答えします。

うつ病は「こころの風邪」と呼ばれることもありますが、その割には自分にはまったく関係ないことだと考えている人も少なくありません。しかし、現代のようなストレスがたくさんあるような社会では、いつ自分がかかってもおかしくない病気だということを認識しておく必要があります。

うつ病になった人の多くは、脳そのものに何らかの異常、問題があるわけではありません。 脳が生み出す考え(=頭の中で情報を伝達し合うための神経伝達物質という物質の働きが悪くなり、ネガティブなものの捉え方になってしまうこと)が問題になってきます。几帳面過ぎて、少し周りについていけないことが起こったり、そういう状態が続いたりすることで、無力感を感じはじめたり、それがストレスとなって自分の考えの大部分を支配してしまい、実際の行動を阻害しはじめたり、睡眠を妨げたり、体調不良などを引き起こしたりしてきます。

つまり、うつ病とは「ネガティブの思考のループから自力で抜け出せなくなっている状態」のようなことだと言えます。うつ病といったものは、明確な線引がしにくく、うつ病の患者さん自身では、自分のせいだと思い込んでしまうことも少なくないため、なかなか病院を受診できずに悪化させてしまうこともよくあります。

うつ病に対する社会の理解度の低さも、うつ病患者が病院に向かうことを阻害してしまう要因になっています。

周りの人からは単に怠けているだけにしか見えないこともあるため、なかなか周りの人の理解やサポートが得られなかったりします。また、そういう自分の生活環境だからこそ、几帳面な人であればあるほど、うつにかかっていくとも言えます。

では、病院を受診することを決めた後、病院の先生はどのような診察をするのでしょうか?海外の映画やドラマではよくあるように、カウンセラーとの対話を通じて解決の糸口を探るような事は日本ではあまり行われていないのが現実です。

診察は、基本的な血圧測定や血液や尿検査を行うことから始まる場合もあります。精神的でない原因でうつ的症状が出ていないかをチェックするためです。

その後は問診になります。現在置かれている状況や体調、考えなどについて、なるべくありのままにお医者さんにお話ししてくださいね。医師はその様子から、うつかそうでないか、別の病気の可能性はないかなどを確認していきますので、ここで自分の気持ちを隠さずに伝えていくことが大切になります。

また、うつには「躁うつ病」といううつ病と似た症状の病気があります。うつ病か躁うつ病かによって治療も変わってくるため、うつ状態がどちらの病気によるものなのか、しっかりと判別していきます。その違いを探るためには、今までの生活状況を知る必要があるため、家族の方などが同席するとプラスとなる場合があります

そして、最終的な診断が下されると、薬などが処方される場合があります。

これはあくまでも一般的なうつに関する初診時の様子です。病院によってはもちろん異なる場合もありますが、ご参考にして頂ければと思います。

(臨床心理士 チャマ)

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