コンピテンシーを導入する危険性-正しい理解と使い方

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「新卒就職者の3人に1人が三年以内に退職してしまっている」

このようなことを、ニュースでお聞きになったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

退職の理由は様々だと思いますが、多くの企業では、会社と個人のミスマッチをさけるためや、成果をだせる人材を雇用するために、人材採用や人事評価制度のあり方を模索しているようです。

そんな中、昨今話題となっているのが「コンピテンシー」というものです。

「コンピテンシー」とは、同じ学歴や知能指数をもっている二人の従業員の間でなぜ業績の違いが起こるのだろう?っといったような疑問から考えられた概念のことです。

業種別に、業績の良い人たちの行動のパターンを集計し、導き出された「仕事ができる人の共通の特性」が、コンピテンシーと呼ばれます。

たとえば、成果の高い傾向にある営業マンのコンピテンシーを見てみると以下のようになると言われています。

■業績の高い営業マンの職務行動や意識
・目標に対する達成意欲が強い
・人への影響力がある
・他者への影響力を高めるために工夫する
・顧客思考がつよい

これはあくまでも一例にすぎませんが、コンピテンシーというのは、こういう特性のことを言います。

このようなコンピテンシーを人材採用や人事制度を改善しようとするために、取り入れていこうとする日本企業が増えてきています。

コンピテンシーに基づいて面接をする場合もあります。

自社で活躍している人材の特徴をベースにして面接をすることで、より自社に合った人材を獲得し、会社の業績につなげていく、ということを目的にして面接をしていくというものです。

では、このコンピテンシーという考え方で人材採用を行っていけば完璧であるかというと、もちろんそう簡単なことではありません。

まだまだコンピテンシーの研究は始まったばかりで、ある一定の効果はあるものの、導入するコストや運用するコストに見合って、成果があるとはまだまだ言えない現状があります。

実際、効果の実証はまだまだ不十分で、アメリカやイギリスでも「コンピテンシー」という概念は理解の範疇にとどめて、直接的な導入・適用をしている企業はそれほど多くなかったりします。

コンピテンシーという概念に基づいた採用や人事制度はたしかに、最先端の考え方の一つではありますが、ただこれを導入すれば劇的に改善するというわけではもちろんなく、適切な理解と設計、運用をしていくことで、効果が出てくるものになります。

コンピテンシーのような考え方を取り入れるべきかどうか、取り入れる場合はどのように取り入れていくかなどもしっかりと考え、より良い採用、人事制度をつくっていけると、企業にとっても、働く側にとってもより良い結果が生まれるのではないかなと思います。

(臨床心理士;チャマ)

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私は38歳の男です。人事で部長をやらされることになり一人で泣いていたりしています。
44歳の男です。転職か異動かで悩んでいます。
出勤の時間が近付いてくるのが怖くて、毎日朝になると気分が落ち込みます。

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