「パパ、ママ、私はいい子?」子どもの摂食障害の発症の原因は親子関係にあった!?

「パパ、ママ、私はいい子?」子どもの摂食障害の発症の原因は親子関係にあった!?

●摂食障害を発症した人には「いい子」が多い

拒食症になっていても学校や職場に通っていることが多いと言われています。しかし、拒食症から過食症に転じると、不登校や休学、欠勤につながることが増えるようです。

過食症になっても、標準体重の人が多く、過食は家族の目が無いところで行うため、不登校や休学、欠勤といった事態が生じて、初めて慌てる家族は少なくありません。

これまで問題を起こしたことがない「いい子」に何が起こったのだろうと、両親、特に母親は困惑するようです。自分の子どもが学生だと「学校でいじめがあったのではないか⁉︎それに学校が気づいていないから学校が悪い!」と考える保護者もいます。

●親子関係でストレスが摂食障害を発症する原因に

摂食障害で病院を受診しても、母親が「持論」を展開して本人が萎縮してしまうケースは多くあります。「どこに行ってもお母さんは正しくて、自分がおかしいと言われてきた。」という患者の声もよく聞かれます。

そのような子どもにじっくりと子ども時代のことを振り返ってもらうと、親子関係に何らかの歪みが見られ、本人は無自覚のうちにストレスを溜め込んでいたケースが多いことが分かります。

「いつもお母さんは兄のことばかり褒めていた。私が同じことをしても、褒めてはもらえなかった。ダイエットをして、初めてお母さんの視野に入った気がした。」「親に腹を立てたらいけないと思っていたので気づかなかったけど、自分はお母さんに愛してもらいたくて、悲しかったのだと思う。」「いつもお母さんは、私に他の家族の愚痴をこぼしていた。それが嫌だったけど、『そんな話、聞きたくない』とはなかなか言えなかった。」

摂食障害の患者には、摂食障害を発症するまで、両親を喜ばすこと、両親の期待に応えることを何よりも大切にしてきた人たちであることが少なくありません。しかし、そのような体験を積み重ね、「両親を喜ばせるようなことをしなければ、自分は親から愛されない。」という思いを心に刻んできたと言えます。親から愛されない孤独感。そのことに疲れた心が発するサインが、摂食障害となって表れます。

●摂食障害の発症は子供からのSOSサイン

どのような家庭でも、子どもが輝くことに喜びを見出すことでしょう。しかし、摂食障害を発症する子どもが育つ家庭では、子どもに「輝く子ども」であることを強要する傾向があることが指摘されています。

他の子どもよりも優れた結果をあげた時には褒めて、甘やかすけれども、それが出来ない時には怒りを露わにする、常に上を目指すように励ますということが多いようです。親の都合で子どもを振り回すことも少なくありません。

摂食障害は再発しやすいと言われています。再発を防ぐには、家族揃ってのカウンセリングが大切とする医療機関もあります。摂食障害を発症するという形で子どもが発したSOSサインを、家庭全体で受け止めることが求められます。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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