パーソナリティ障害とは
物事の受け止め方や行動の仕方には個人差があります。プライドの高い人、融通の利かない人、人付き合いの下手な人、世間体を気にする人。同じ人は世の中にいません。一人一人個性があります。個性という範囲で留まっている限り、いいとか悪いという問題にはなりません。
ただし、考え方や行動に著しい偏りがあると、本人も生きづらさを感じ、周囲の人も振り回されることになります。たとえば、あまりにプライドが高くて、他の人から何かを指摘されることが許せない人がいます。ちょっとしたことを指摘されただけで、自分を否定されたと感じて怒りだしたりします。そうなると、周囲は何も指摘できずにストレスを溜めますし、本人も思いがけない失敗をすることが出てきます。
パーソナリティ障害とは、偏った考え方や行動によって、家庭生活や社会生活に支障をきたした状態です。アメリカ精神医学会の診断基準でも、パーソナリティ障害のことを「著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式」と規定しています。
パーソナリティ障害の人の特徴1「自分への強いこだわり」
パーソナリティ障害には、アメリカ精神医学会の基準にあげられているだけでも、10のタイプがあります。しかし、それらに共通する根本的な特徴が2つあります。
1つは、自分に強いこだわりを持っているということです。素晴らしい自分像へのこだわり、みじめな自分への執着。優越感に浸る人も劣等感に苛まれる人も、自分が抱く自分像から離れることができないという点に大きな特徴があります。
パーソナリティ障害の人は、しばしば自分のことばかり話します。口にしない場合も、考えていることは自分です。自分に囚われているというのが、どのタイプのパーソナリティ障害にも共通する特徴です。
パーソナリティ障害の人の特徴2「とても傷つきやすい」
パーソナリティ障害の人に共通するもう1つの特徴は、とても傷つきやすいということです。偏りのないパーソナリティの人にとっては何でもない一言やさりげない素振りが、パーソナリティ障害の人をひどく傷つけます。
適応できずに抑うつ状態になったり、些細な一言がきっかけで逆上したりします。無意味な咳払いや物音にさえ、悪意を感じて傷つくこともあります。絶望し、自傷行為に走ることもあります。
パーソナリティ障害は人間関係で問題を抱えやすい?
自分への強いこだわりと傷つきやすさ。これらの特徴は、生身の人間関係において、対等で信頼しあった人間関係を築くことの障害という形で現れます。信じること、愛することが難しいという問題を、パーソナリティ障害の人は抱えています。
溺れる愛、押しつける愛、試す愛など、障害のタイプによってさまざまですが、愛し方の歪みによって、当人も周囲の人も安定した幸せを得られないという点で共通しています。「安定した幸せをどうして得られないのか?」ということの答えを探すうえで、パーソナリティ障害という視点を持つことは重要です。