摂食障害の方の◯%が強迫性障害も併発しているって本当⁉︎

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●摂食障害の背後にある不安

摂食障害は、食べるという行為に関して完璧に自分をコントロールしたいという強い願望に基づく行動異常です。摂食障害を発症した人は、何らかの不満を自分に抱いています。思い通りにいかない自分への根深い不満です。

そして、そのような状態から感じる不安に苛まれています。「何か価値のあることで、完璧な行動をしたい!」その願望が美と結びつく「痩せること」への飽くなき追求に転じた時、拒食症を発症します。

食べることにおいて「完璧に」自分をコントロールし、痩せた状態を維持することは、万能感を与えてくれます。自分の中の不安を和らげることができます。自分にとって不快なことや嫌な事実を打ち消すには何かをせずにはいられないという思いが、摂食障害を発症する人には強いと言えます。

●摂食障害で見られる完璧主義

摂食障害に罹った人は、1日に何回も体重を測ります。食べ物の重さをいちいち量り、どの食品は何カロリーかということを実によく覚えています。食べること、体重を管理することに関して「完璧に」行動します。

その完璧主義は、周囲の人には一種の強迫観念に取り憑かれているように見えます。完璧主義は、目標体重を達成した後も続きます。摂食障害の方は、完璧主義からくる行動や考え方が幼少期からある傾向が強いとの指摘もあります。

その完璧主義が思い通りの効果を生まなかった挫折感から、体重管理に移ったというケースも少なくありません。

●摂食障害と強迫性障害の関係

完璧であることへのこだわり。強迫性障害と摂食障害には関連性があるとの報告があります。精神疾患の診断基準としてよく用いられる「DSM-IV」に基づく調査では、摂食障害の人の24~55%には何らかの不安障害が見られるとのことです。強迫性障害はそのうちの7~35%とする報告もあります。

拒食症から過食症に移行した患者では、42~44%に強迫性障害があると言われています。過食症からスタートしたケースを含めた過食症全体では、約60%に何らかの不安障害があるとされています。そのうち約40%は、強迫性障害だったと報告されています。

強迫性障害は、摂食障害を発症するリスクとなるだけでなく、摂食障害を発症する前後には強迫行為もひどくなり、そのことが摂食障害を再発させやすくしているとの指摘もあります。

強迫性障害と診断されて治療を受けている間に、過食嘔吐が再発することもあります。しかし、多くの場合、過食嘔吐が生じたということを、患者は担当医師に話そうとしないようです。「過食嘔吐なんてだらしがない」「先生に呆れられるのではないか?」「嫌われるのが怖い」と思うからです。しかし、強迫性障害と摂食障害は、しばしば密接に関係します。

症状は率直に医師に伝えましょう。病気を治すには、医師に症状をきちんと伝えることが不可欠です。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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