うつ病治療の前に知っておきたい「抗不安薬の効果と注意点」

うつ病治療の前に知っておきたい「抗不安薬の効果と注意点」

うつ病の治療に抗うつ薬と併用されることが多いのが、抗不安薬です。うつ病における不安感や緊張感などを和らげてくれる働きがありますが、その種類や効果、それに注意点はどのようなものがあるのでしょうか。

1.抗不安薬の種類

抗不安薬として日本で承認されているものは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬とセロトニン1A部分作動薬の2つがあります。このうちよく使われるのはベンゾジアゼピン系抗不安薬です。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、脳内神経伝達物質であるGABAの働きを増強させて脳内中枢神経の働きを鎮静化させることで不安を和らげることになります。

3〜6時間程度と効果持続時間が短い抗不安薬としておなじみなのが、デパスです。デパスは抗不安薬として精神科で処方されるほかに、自律神経の異常による胃腸障害の改善目的や睡眠障害のある人の睡眠導入剤としても処方されます。

抗不安薬はこのほか、効果が持続する時間が100時間をこすものまで幅広くあり、症状や目的に応じて処方されることになります。

2.抗不安薬の効果

抗不安薬は服用後1〜2時間程度で効果が現れ始めるのが大きな特徴で、服用後効き始めるまでに1〜2週間程はかかる抗うつ薬との違いがあります。

初期のうつ病であれば緊張を緩和することで不安感が少なくなり寝つきが良くなるなどうつ症状の軽減に一定の効果が期待できます。急に強い不安感や緊張感に襲われたというような場合には半減期が短い短時間型の抗不安薬が効果的であるなど、半減期の長短によって薬を使い分ける場合もあります。

もっともうつ病における不安軽減のための効果はありますが、あくまでも補助的にうつの症状を和らげるという性質のものであり、うつ病自体を根底から治療するという薬ではありません

3.抗不安薬の注意点

不安を抑えるという薬の特性上、どうしても眠気が伴うことになります。またアルコールと一緒に服用すると、その効き目が増大されることになり、生命の危険にもつながりますから注意が必要です。

服用を止める場合には勝手に行わず医師とよく相談しましょう。抗不安薬は長期間服用を続けていると依存性が高まる薬であり、急に服用を止めてしまうと場合によってはてんかん発作などの重篤な禁断症状が現れます。

抗不安薬に限らずどの内服薬にもいえることですが、長期間にわたって過剰に服用してしまうと肝機能障害など体内に危険が伴うこともあります。うつ病の治療の主役はあくまでも抗うつ薬ですから、抗不安薬に過度に依存することはできるだけ避けましょう

また、うつ病など精神疾患以外の健常な人が抗不安薬を服用すると、悪影響が出てくる可能性もあります。抗不安薬を服用する際には、「不安になったらとりあえず薬を飲めばいいんだ」という話ではないということに注意することが大切です。

(執筆:ニュース編集部, 監修:臨床心理士 鏡元)

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