新しい環境になじめない人の心の病気!?「適応障害」になる原因と症状

新しい環境になじめない人の心の病気!?「適応障害」になる原因と症状

●新しい環境に馴染めないことが適応障害発症のきっかけに

適応障害とは、新しい環境が生み出すストレスにどうしても慣れることができず、次第に心の不調が募る状態です。ストレスによる反応としてよく見られる状態とも言われます。

きっかけとして多いのは、生活環境の変化です。引越し、進学、転校、留学、就職、転職、昇進、配置転換などが、適応障害のきっかけとして頻度が高い出来事です。対人関係のトラブルや死別、離婚等も、適応障害を引き起こす重要な要因と言えます。

新しい環境に馴染めなくても、適切なサポートがあれば、次第に環境に馴染んで症状が軽減されることもあります。行き詰まっていた問題が解決されて、症状が消えていくこともあります。しかし、本人の適性や志向と環境があまりにかけ離れている場合は、どんなにサポートしても、うまくいかないこともあります。

●適応障害を発症する可能背が高いの時期は、新しい環境に移ってから1ヶ月くらい

適応障害では、新しい環境に馴染めないということが大きなストレスになって症状が現れます。症状は、多くの場合、新しい環境に移ってから1ヶ月くらいで現れます。

ただし、ある程度適応力が高い人では、それよりも後になって症状が現れることもあります。何とかうまく適応しようと、あれこれ努力してみたものの、どうしても適応できず、ついに限界に達して適応障害を発症します。

適応障害は、馴染めない環境というストレスから解放されると、すぐに元気になれるとされています。通常は、6ヶ月以内に回復すると言われています。

ただし、環境を変えることができないと、症状が長引くこともあります。ダメージが大きくなって、体調を崩したり、うつ病に進行することもあります。その場合は、「遷延性抑うつ反応」という言い方をすることもあります。

●症状の現れ方に個人差がある適応障害

どのような環境をストレスと感じるかは、個人差が大きいと言えます。ストレスをほとんど感じない人もいれば、同じ環境でも大きな苦痛を感じる人もいます。その人のパーソナリティや発達特性と密接に関わる問題です。

適応障害を発症した人に「他の人はそうは感じていないよ」「そこまで深刻に受け止める必要はないんじゃない?」と言うことは、控えましょう。第三者的な言葉は、励ますつもりで言ったにしても、本人にとっては、「私の苦痛を分かってくれない」という思いを強めるだけです。

症状の現れ方も、個人差が大きいのが特徴です。ふさぎ込んだり、イライラしたり、大切なことが手につかなかったり、集中力が低下したりします。うつ病の症状に近いのですが、本人にとって好ましいことがあると、気分が良くなるところが、うつ病と違います。

他の人に対して攻撃的になることもあります。物や人に当たることもあります。体重の減少や増加は、あまり見られません。頭の動きが緩慢になるということも、少ないようです。

本人にとってどのような環境が大きなストレスになるのかということを見定め、本人にとってどうなのかということを考えていくことが、症状を改善するうえでは大切です。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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