病気であるとの認識が大切? 全般性不安障害の治療で大切なポイント

病気であるとの認識が大切? 全般性不安障害の治療で大切なポイント

全般性不安障害患者の中には精神科での治療を拒否する人も少なくない

不安が募って体調に変化が現れた時、たいていの人は背後にある不安には気づきません。体調を崩したと考えて医療機関を受診します。検査を受けて何も異常が認められないと、一層不安が募ります。体調の変化は現実のものであり、何か原因があるはずだからです。その原因が精神的なものであるとは少しも考えません。不安の蓄積は、徐々に長期間にわたって行われてきたからです。

医療機関で精神的な問題の可能性があると指摘されても、たいていの全般性不安障害患者はすんなりとは納得しません。自分がメンタル疾患に罹っていると考えることで、不安が強くなるためです。また、メンタル疾患への理解が十分に進んでいるとは言いがたい現状では、メンタル疾患に罹ったことで大きな不利益を被るのではないかということも不安をかき立てます。

過換気症候群を短期間に繰り返すようになっても、周囲からメンタル疾患の可能性を指摘されても、なかなか精神科を受診しようとしない全般性不安障害の患者は少なくありません。

全般性不安障害患者は薬を服用することへの不安が強い

全般性不安障害の患者の特徴の1つに、薬を服用することへの強い不安感があげられます。たとえば、うつ病の患者では薬を服用することに多少の抵抗があったとしても、「薬を飲むのが嫌だから病院に通うのは嫌だ」という人は少ないと言えるでしょう。

全般性不安障害の患者は、診断が確定した後、通院を拒むことがあります。薬を服用することに強い不安を感じるからです。「薬を飲んでも良くならない」というサイトでの書き込みが多いのも、全般性不安障害の人に多いようです。薬には相性があります。また、病気の進行状態によって効果が現れにくい期間があるのも事実です。

症状によっては、薬物療法を用いなくても治療が可能なこともあるでしょう。薬への不安が強いのなら、薬を用いない治療方法を医師が選択することもあり得ます。そうした可能性を事前に排除して「通院したら薬漬けになる。それが怖いから自分で行動療法を勉強して治そう!」という発想になってしまうことが、全般性不安障害の人には少なくないようです。

考え方のクセを取り除くことも大切

全般性不安障害から自力で回復したというサイトも見かけます。その努力には敬意を払います。しかし、不安障害は、薬も医師のカウンセリングも無しに治すのは難しい病気です。長年の不安の蓄積、長期間に及ぶ緊張状態が全身に影響を及ぼしているからです。精神状態を伴わない過換気状態が内臓に残っていて、頭痛、動悸、吐き気、下痢などの症状が現れることもあります。素人では判断がつかない状態です。

「通院したら薬漬けになる」「精神科に通院するようになったら、自分には将来が無い」という固定観念から脱却することも、不安障害の寛解には不可欠ではないでしょうか。不安を引き起こしやすい自分の考え方のクセを取り除くことが大切です。治療を受けるという決断も寛解への大きな一歩です。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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