摂食障害の治療で知っておきたい3つのポイント

摂食障害の治療

1.特効薬はない?摂食障害の投薬治療

食に関する行動の異常。摂食障害を疑って受診を勧める家族は、しばしば医師に「何か効くお薬はないでしょうか?」と相談します。それまで問題を起こしたことがない「いい子」が問題を起こしたことに動揺し、異常に痩せたり太ったりして生活が乱れてきた本人を早く元の生活に戻そうとします。その気持ちの表れが「効くお薬」という言葉になります。

しかし、摂食障害は、食欲の病気ではありません。食にストレスの発散を見出した自意識の病いと言われています。治療の中心となるのはカウンセリングになります。薬も治療の一環として用いることはありますが、あくまでも病気からくる症状を軽減する目的として処方されます。たとえば、拒食症で低栄養状態に陥っていたり、無月経になっているときには、ビタミン剤やホルモン剤が処方されます。過食嘔吐を繰り返して胃が荒れている場合は胃腸薬が使われます。

2.低体重では本格的なカウンセリングが行えないこともある

摂食障害の治療の中心はカウンセリングですが、あまりにも体重が少ないと、精神科医やカウンセラーが本格的なカウンセリングを行わないことがあります。

痩せることへのこだわりは不適切な対処方法だと認識させていくカウンセリングは、患者にとって心地よい面談ばかりとはなりません。自分の心を占めるストレスにどう対処するか、今までの対処方法を変えていく辛い作業になります。

体重が30kg以下の患者では、何度説明してもすぐに忘れてしまったり、思い込みや誤解が多かったりします。些細なことですぐに泣き出し、落ち着いたコミュニケーションができないことも多いとされています。体重が35kg以上にならないと、本格的なカウンセリングを行わないという医療機関もあるようです。

体重が著しく低下している時には、身体的な不調も深刻になっていることが多いため、入院での治療を検討しなくてはならないでしょう。入院して、まずは食事を摂るところから治療は始まります。自宅で無理に食べさせようとしても、逆効果になります。担当医と十分に話し合って入院治療を検討するようにしましょう。

3.摂食障害の治療の中心はカウンセリング

摂食障害の投薬治療では、憂うつな気分や食べ物へのこだわりを和らげる効果がある抗うつ薬、不安感を緩和する抗不安薬、衝動的な過食を防ぐ抗精神病薬などがよく用いられます。

現在効果が確認されている薬としては、拒食症ではアミトリプチリンやサイプロヘプタジン、過食症ではデシプラミン、イミプラミン、フェネルジンなどがあります。また、食欲を抑える効果があるサノレックスもよく使われるようです。

これらの薬に効果によって過食嘔吐の回数が劇的に減ったという人もいれば、まったく効き目を実感できなかった人もいます。薬の効き目は個人差が非常に大きいと言えます。

薬は摂食障害による抑うつ状態を改善したり、症状の悪循環を食い止めるために使われます。ただし、治療の中心はカウンセリングになるため、治療には一定の期間が必要になります。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)