被災地で問題になっているPTSDとは 原因と3つの症状

被災地で問題になっているPTSDとは 原因と3つの症状

●PTSDってなに?

PTSDという病気を聞いたことがありますか。PTSDとは正式には心的外傷後ストレス性障害と呼びます。この問題が大きく議論されるようになったのはベトナム戦争の帰還兵の自殺やアルコール依存などが深刻な社会問題となってからです。

日本のメディアでも、被災された方々がPTSDなどの心の病に苦しまれていることが社会問題として取り上げられているのをご覧になった方もいるのではないでしょうか。

今回はPTSDがどのような病気なのかということを少しお話したいと思います。

●PTSDの症状

PTSDとは災害やレイプ、虐待、犯罪被害などによる心理的な外傷により、非常に強い恐怖心が植えつけられたり、無気力になる症状のことを言います。

忘れたくても忘れられない。そういう思い出は誰しも少なからずあるものだと思います。しかしそれが、上記に書いたような九死に一生を得る体験や自分の人格を根本的に揺るがすような経験であれば事態は深刻になることは容易に想像がつくでしょう。

そのような経験をするとすべての人がこの症状に陥るわけではありませんが、誰しもがなる可能性があります。では具体的にはどのような症状があるのでしょうか。少し話したいと思います。

1.フラッシュバック

上記のような体験をもう二度としたくないと思っていても本人の意思とは無関係に何度も繰り返すように再現されてしまう症状を言います。眠っている時だけではなく、白昼夢という形で突然目の前で再現されてしまうのです。それは時ににおいや音が伴う場合もあります。

2.回避

二度と体験したくないと思った出来事を思い出す状況を避けようとする症状です。特に多いのが原因となった事故や事件の現場を避けようとするものです。また、心を壊すような体験を二度と感じないようにするために感情が麻痺し、それ以外の感情も感じ取ることができなくなる人もいます。また、出来事の一部を思い出せなくなる人もいます。

3.過覚醒

つらい出来事を経験したことで世の中が悪意や危険に満ちているように感じてしまい、ひどく警戒してしまう症状です。そのため些細なことで、びくびくしてしまったり、震えたり、イライラしたり、不眠症状がでたりと日常生活に支障が出てしまいます。

このような症状はひどくつらい体験をしたら誰にでも起こりうるものです。

周囲の人々は、まずその人がもうそのような体験をしなくてもいいと安心できる環境を作ってあげてください。その人に支持的に接し、安全や安心を確保することによって時間とともに自然回復することも多いです。

数か月たっても回復しないなど回復の兆しが見られない場合は心理療法や薬物療法などの治療の対象となりますので、専門の医師に相談してみるとよいでしょう。

(執筆:結城, 監修:臨床心理士 鏡元)

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