もうすぐ幼稚園に入園するのに!もしかして自閉症?

もうすぐ幼稚園に入園するのに!もしかして自閉症?

●意外と多い自閉症の子ども

自閉症の割合はどれくらいだと思いますか?少し前の医学書には、発病率は1万人に5人くらいしかいないと書いてありました。1万人に5人というと、相当に珍しい病気ということになります。

しかし、最近の医学的調査結果では、自閉症はもっと多く見られる障害であることが分かってきました。今では、自閉症は典型的な症状の子どもだけでも1000人に2~6人はいるとされています。軽度の自閉症の子どもも含めると、100人に1人くらいは自閉症の子どもがいると考えられています。

●共通して見られる三つ組の障害

自閉症の症状の現れ方は千差万別です。ただし、自閉症の場合には共通した3つの問題があることが分かっています。対人関係に質的な問題が見られること、コミュニケーションに質的な問題が見られること、想像力が乏しいこと。これら3つの問題が全て認められると、自閉症と診断されます。

1.対人関係に見られる質的な問題。自閉症というと、自分の殻に閉じこもって他人との交渉の量が不足していると誤解されることが少なくありません。しかし、自閉症でも、見知らぬ人に突拍子も無いことを話しかけたり、全く人見知りしない子どももいます。自分と相手との関係を適切に理解できないことが問題です。

2~3歳になってもお父さんにすら、自分の世話をさせない子どももいれば、お母さんの後追いをしない子どももいます。また、2~3歳になると、同じ年頃の子どもがそばにいると、一緒にうまく遊べなくてもなんとなく気にする素振りを見せるものですが、自閉症の子どもは全く他の子どもに関心を示しません。

2.コミュニケーションの質的な問題。自閉症の場合、多くは言葉が遅れます。言葉の遅れで自閉症を心配する保護者も少なくありません。ただし、言葉の遅れが見られない場合もあります。言葉の遅れが見られなくても、習得する言葉に偏りがあったり、言葉の使い方に通常とは違う面が見られたりします。

多くの子どもは日常生活に必要な言葉から習得し、覚えた言葉は身の周りの大人に使います。言葉はコミュニケーションの道具だからです。しかし、自閉症の子どもは「ママ、パパ」といった言葉の習得が遅れることがあります。また、独り言しか言わなかったりします。

3.想像力の乏しさ。次にどのようなことが起こるのかを想像する力が乏しいため、想定外のことが起こると、自閉症の子どもは激しく混乱します。いつもと違う道順で帰っただけで不安がる子どももいます。いつも同じ順におもちゃを並べて遊んだり、同じものを握っていたりすることに執着する子どもが少なくありません。

●健診で問題を指摘されたら保健所に相談しましょう!

保健所を活用している保護者は、まだまだ少ないようです。健診で合格不合格という結果を出される場所という印象が強いのかもしれません。けれども、保健所は保護者の子育てを最も身近で支援する機関です。

保健婦さんは、同じ年頃の子どもを沢山見てきています。自ら子育ての経験がある人も少なくありません。子どもの発達に熟知している人も多いのが保健所のスタッフです。

地域によっては、保健所に親子教室が開かれていることもあります。健診で問題を指摘されたら、上手に保健所を利用したいものです。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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