今回は、現在注目されているポジティブ心理学のテーマの一つであるPTGに関してまとめていきたいと思います。
よろしければ、ポジティブ心理学の記事もまとめてお読みください。
PTG(Post Traumatic Growth)とは、ポジティブ心理学の専門的な用語で「心的外傷後成長」といいます。
PTGの説明をする前に、まずPTSDのお話をさせていただきたいと思います。
専門用語や英語が並んでいて、なんだか難しそうと感じるかもしれませんが、少しでも目を通していただけたら幸いです。
PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)とは「心的外傷後ストレス障害」というものです。
なんだか、PTGと言葉が似ていますね。
PTSDとは、とても怖い思いをした記憶がこころの傷となり、 そのことが何度も思い出されて、恐怖を感じ続ける病気です。トラウマというとイメージしやすいでしょうか。
震災などの自然災害、火事、事故、暴力や犯罪被害など、ショッキングな出来事を経験したときや、強いストレスを受けた際に、それが心の傷になってしまうことがあります。
通常は、それでもそういった心の傷は少しづつ薄れていくものですが、傷が大きすぎるとそうはならず、時間がたっても、その体験が思い出され、不安や恐怖を感じたり、不安や緊張が続く、めまいや頭痛がある、眠れないというな症状が起きるようになるものがPTSDになります。
PTSDの症状は多様で、突然、以前の怖い出来事を思い出してしまう「フラッシュバック」とよばれるものやめまいや頭痛、吐き気などの身体的症状がでることもあります。
ではPTGとは?
PTSDは先ほど説明しましたように、心の傷が原因でさまざまな症状を引き起こすものです。
そして、PTG(心的外傷後成長)とは、そういったショッキングな出来事や強いストレスで負った心の傷を乗り越えて、自分の心が成長するということです。
とても辛い経験をした後、人が大きく成長してかえってくる
映画やアニメなどでもこのようなストーリーを見たことがおありではないでしょうか。
スポーツ選手でも怪我を乗り越えて現役復帰!などといったこともありますよね。
よくよく考えてみたら、私たち自身にもそういうものがあるかもしれません
PTGとは、このような経験の後の成長を4つの観点から研究されています。
1.他者との関係観の成長
2.人間としての強さ
3.新たな可能性への気づき
4.精神性的変容および人生に対する感謝
たとえば、
1.私はいろいろな人に支えられながら生きているんだ
2.私には困難を乗り越える力があるんだ
3.困難を乗り越えていくことができるんだ、あんなことも私にはできるかもしれない
4.いまこうしていられることは素晴らしいこと
などなどと、辛い経験の後に、私たち人間の物事の捉え方が柔軟になることや、多角的な見方ができるようになること、
研究を通して多くみられることが分かってきました。
人生で経験したすべての逆境、トラブル、障害が私を強くしてくれた
あのディズニーランドの創設者、ウォルト・ディズニーの言葉です。
心に傷を負うことは、とても苦しいことです。何もかもがどんより沈んで見えてくるかもしれません。
しかし、その傷を乗り越えることさえできれば、私たちはより豊かな考え方を手にするかもしれませんね。
(執筆:Koh 監修:臨床心理士 鏡元)