●強迫性障害は不安障害の1種
強迫性障害は、自分の意に反して不快な考えや不安な考えが浮かんできて、不安を抑えられない状態になり、不安を解消しようとして自分なりに納得できる行為を繰り返さずにはいられないという病気です。
自分でも浮かんできた不快な考えや不安な考えが馬鹿げたことだと分かっています。そして、不安を解消しようとして自分が行っていることが無意味なことだとも分かっています。分かっているけれど、自分なりに納得した行為を止めようとすると、強い不安を覚えてなかなか止めることができません。
自分が感じていることも行っていることもつまらないことだと頭では分かっているのに、止めようとすると不安が募るのが特徴です。不安が基礎になっている病気なので、強迫性障害は不安障害に分類されます。
●強迫性障害の代表的な4つの症状
症状は実に多様です。さまざまなことが不安の対象になるためです。今回は、強迫性障害の代表的な4つの症状をご紹介します。
・潔癖性
よく知られているのが潔癖症です。潔癖症は、不潔や汚れへの不安が元になっている症状です。外出先で何かに触れると、触れた物がばい菌に汚染されているのではないかと不安に駆られ、何度も何度も手を洗います。
自宅でもトイレに入るたびに汚物に汚染されたのではないかと不安になって服を着替えたりします。入浴時間が異常に長くなる人が多い反面、何かに触ることでばい菌に汚染されるのではないかと不安になり、物に触ることを避けて入浴できなくなる人もいます。
・加害恐怖
加害恐怖、被害恐怖、疑惑癖もよく知られています。加害恐怖とは、自分が誤って他人を傷つけたり殺してしまったりしないかということを異常に恐れる症状です。自動車を運転している時に何かに乗り上げたら、人をひき殺したのではないかと不安で堪らず、取って返して確認しないと気が済みません。
・被害恐怖
被害恐怖とは、自分が自分に危害を加えるのではないか、自分以外のものによって自分に危害が及ぶのではないかということを異常に恐れる症状です。たとえば、自分の目を何かの弾みで傷つけてしまうのではないかと不安に駆られ、尖ったものを異常に恐れます。
・疑惑癖
疑惑癖とは、自分がしたことが完全だったかどうか、絶えず疑惑が生じて何度も何度も確認しないと気が済まない状態になることです。外出時に鍵をかけたかどうかが気になって何回も何回も確認しないと気が済みません。
他にも、些細なことの理由が気になって堪らず、しつこく詮索したり質問して回ることもあります。物の数や回数が気になって数えないと気が済まない人もいます。
●人前では病気を隠し通すことが多い
強迫性障害の特徴は、患者が自分の考えや行為を異常なものだと感じていることです。自分の感じていることは普通ではない、自分がしていることは無意味だと頭では分かっているのに、無意味な行為を止めることに強い不安を感じるため、なかなか止められないというのが強迫性障害です。
理不尽、無意味との自覚があるため、重症患者以外では、人前で儀式行為を行うのを懸命に我慢します。病気のことは隠し通します。そして、人目がない自宅で、気が済むまで儀式行為を行うということが多いようです。何時間も入浴したり掃除機をかけ続けたりします。しかし、人前では、他の人のように振る舞うことが非常に多いようです。