『脳』と『こころ』と『からだ』はどんな関係なのか?臨床心理士が解説してみます。

『脳』と『こころ』と『からだ』はどんな関係なのか?臨床心理士が解説してみます。

『脳』と『こころ』と『からだ』については、遥か昔から色々な国や人によって研究されてきました。

たとえばこころの存在は紀元前にヒポクラテスやプラトン、アリストテレス等がそれぞれの考え方を記しています。

現代でも、主に脳科学や医学、そして心理学の分野で研究は続けられています。そして、もちろんまだまだ分からないこともたくさんあるのですが、分かってきたこともかなり増えてきました。

さて、みなさんはこころはどこにあると思いますか?

こう訪ねると、多くの人は自分の左胸を指差します。

江戸時代には心臓の横にこころという臓器が描かれていたこともありますが、英語の気持ちを表すheartは心臓もさすように、こころというものは心臓にあるという方が多いようです。

しかし皆さんご存知の通り、心臓には何かを考えたり感じたりする機能はありません。

ではこころはどこにあるのでしょうか?

こころは何かを考えたり感じたりする場所とされています。

何かを感じたり考えたりする臓器は人間の中に一つだけあります。

そう、それは脳ですね。

とすると、こころとは脳の活動の一部ということになります。

つまりこの3つは密接に関係しているのです。

脳はからだに指示を出して身体を動かします。

そして脳は心をつむぎだします。こころは脳の内的現象ともいえるかもしれません。

証拠に、脳が損なわれる現象がこころを変えてしまうということもあります。例えば交通事故で脳の一部に損傷が起きてしまった人たちは人格そのものが変貌してしまうことがあります。また、アルツハイマー病という脳の病気は、脳の神経組織が徐々に失われていく病気ですが、そのことによって、認知症になったり、人格が変貌することがあります。

つまり、脳に何らかの異常があると、こころの不調となって現れてくるんですね。

そして脳はからだもコントロールしている訳ですから、脳やこころに不調があると、脳のからだのコントロールに不具合がでて、からだにも不調を起こしてしまいます。

では脳さえ正常であれば問題はないのでしょうか。

それがそうとも言えないのです。

昔、ジェームズとランゲという二人の心理学者がいました。

彼らは言いました。「人間は悲しいから泣くのではなく泣くから悲しい。」

これはからだの反応が脳にも影響を与えるということをいっています。

つまり、『からだの反応が先で、感情は後からついてくる』ということですね。

つまり、身体の不調はそのまま脳の不調になることもあるということです。

こころに関してもそうです。脳は臓器のの一部ですから、こころの不調は脳にも影響を与えます。

このように、『脳』『こころ』『からだ』というこれら3つは密接に関係し合っています。

さて、この中からわかった大切なことは、この3つのどこかに不具合が出れば他の2つにも影響を受けるということです。

ですので、脳を知覚することは難しいですが、他の二つに関しては、どこか自分のこころがしんどい、からだが疲れているなどといったことがあれば、他の部分に影響を与えたり、また影響を受けている可能性もありますから、まずは休養を取って様子を見ることが必要になります。

休養を取ってもなかなか改善しない場合は、自分一人では解決できないような状態になっている可能性もありますので、周りの人や専門家の助けを借りることが大切になってきます。周りの方に相談できない場合などで、辛いこと、苦しいこと、しんどいことがあれば、いつでもココオルまでお気軽にご相談ください。

臨床心理士 鏡元(かがみげん)

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