境界性パーソナリティ障害の人と接するときに大切な2つのポイント

境界性パーソナリティ障害を持つ人との接し方

打ち明け話には冷静に対応すること

打明け話をされると、普通の人は「ここまで自分のことを信用してくれているのだから、何とかしてあげないと!」と熱心に話を聞き、相手に共感します。話の内容に一喜一憂して、語り手と同じ感覚を持とうと努めることもあるでしょう。打明け話が、込み入った事情であればあるほど、そうした話をしてくれた相手の信頼に応えようと一生懸命になるのが、人情というものです。

しかし、境界性パーソナリティ障害の人の打明け話に感情移入をすることは、控える必要があります。知り合っていくらもしないのに、「普通なら、ここまでのこと人に話すかな?」というようなことまで打ち明けてくる場合、ことに注意が必要です。

境界性パーソナリティ障害の人のペースに巻き込まれてしまうと、極端から極端へと振り回されて、結局はついていけなくなってしまうことがあります。同情すると、際限なくすがりつかれ、いつしか自分も不安定になり、関係を絶たざるを得なくなります。

相づちは控えめにしましょう。過剰に共感することはせず、極力冷静に対応しましょう。あまりに込み入った話になりそうになったら、話をそれとなく遮ることも大切です。

10年同じ対応を続けられるか?

境界性パーソナリティ障害の人は、常に自分が依存できる相手を探しています。幼い頃に十分な愛情を注いでもらわなかったという不毛を心の奥に秘めているからです。無償の愛情を注いでくれる相手をいつも探しています。

無償の愛情を注ぐというのは、対等な人間関係では難しいことです。誰にでも自分の世界があり、自分の生活があります。無償の愛情を注ぎ続けるということは、非常に困難です。そのような期待を一旦抱いた相手が自分から離れていこうとすると、境界性パーソナリティ障害の人は、自殺を企図して引き戻そうとします。

本当に死んでもよいと思っていることが少なくありません。通常は、そのような対応をされると、気持ちは大きく離れていきます。

境界性パーソナリティ障害の人は、自分に関心を持ってもらえると急速に接近し、相手の関心が得られると一気に燃え上がります。些細な共感で関係を縮めます。境界性パーソナリティ障害の人と接する時には、「この状態を10年保つことが本当にできるか?同じ対応を10年継続できるか?」ということを常に自分に問いかけることが大切です。

多くの人は、1回拒否されても、仕方のない事情が相手にあったら、そのことを理解し、「今日は都合がつかなかっただけだ。次には対応してもらえる。」と思います。それまでに何回も対応してもらっていれば、それまでの積み重ねを考慮することができます。

しかし、境界性パーソナリティ障害の人は、1回拒否されると、自分は完全に見捨てられたのだと感じることがあります。「裏切られた!死んでやる‼︎」と自殺を企図することさえあります。

それまでに繰り返し支えてもらったことも、たった1回の拒否ですべて偽善に感じられてしまいます。過去の積み重ねが安心を生まないというところに、境界性パーソナリティ障害の人の特徴があります。

境界性パーソナリティ障害の人の気持ちの揺れ動きの激しさを打ち消す方向で付き合うことが、境界性パーソナリティ障害の人をも最終的に救います。地味でも変わらない人こそが、境界性パーソナリティ障害の人を支え続けます。

境界性パーソナリティ障害の人と接する時には、常に「10年同じ対応を続けられるか?」ということを自分に問いかけながら、細く長くつながるようにすることが大切です。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)