流産や早産の危険性がある⁉︎~摂食障害の妊娠の密接な関係~

妊娠と摂食障害

●妊娠しても摂食障害はよくならない⁉︎

妊娠は、女性にとって大きなライフイベントです。授かった命を思って優しい気持ちになることも多いはずです。摂食障害の患者の多くは、妊娠によって病気が快方に向かうことを望みます。自然な願いです。

しかし、妊娠しても摂食障害が治ることはないと、摂食障害に詳しい西浦可祝(にしうら かしく)医師は言います。

妊娠によって、それまで落ち着いていた症状が再発することもあると言います。病状が悪化することもあります。妊娠がきっかけとなって摂食障害を発症する人もいます。妊娠と摂食障害とは、密接に関わりあっています。

●つわりがきっかけで摂食障害になる可能性

妊娠初期につわりが見られる人は少なくありません。嘔吐や吐き気などの症状。この症状が、摂食障害の症状の一つである過食嘔吐の誘引になります。

妊娠すると、子宮が大きくなって胃や腸を圧迫します。そのことによって食べ物の停滞時間が長くなったり、胃食道逆流が起きて、腹部の不快な症状を招いたり、嘔吐を起こしたりします。

妊娠前から過食嘔吐が常習的に起こっていた人は、胃食道逆流が合併しやすいとされています。妊娠による身体的な変化は、摂食障害を引き起こすきっかけになります。

●症状が抑えられない罪悪感から悪循環が始まる

摂食障害に罹る人は、自分を責める傾向が強く、罪悪感を抱きやすいとされています。

妊娠して、自分一人の体ではなくなったのに過食、過食嘔吐、チューイングなどの症状が出続けると、自責の念や罪悪感が強くなります。

お腹の赤ちゃんのためにも症状を止めたいと強く願います。しかし、願いが強ければ強いほど、ストレスが溜まって摂食障害の症状が出てしまいます。罪悪感と症状の悪循環に陥ります。

●当たり前の体重増加なのかが分からない

妊娠すると、誰でも体重は増加します。赤ちゃんのために母体に余分な蓄えが必要だからです。そのことは頭では十分に分かっているものの、体重が増加するということは、摂食障害の人にとっては恐怖です。赤ちゃんのために太らなくてはならない。でも、ゼッタイ太りたくない!相反する二つの気持ちの間で揺れ動きます。

適度に体重を増加させるというのが、普通の妊婦よりきわめて難しいのが、摂食障害患者です。過食症だと、お腹がいっぱいという感覚が曖昧になっているため、過食なのか、あって当然の食欲なのかが分かりません。

母体の体重が順調に増加しないと、胎盤の成長が悪く、流産のリスクを高めます。過食嘔吐を繰り返すと、嘔吐によって子宮が圧迫されて子宮収縮を引き起こし、早産のリスクを高めます。過食によって体重が増えすぎると、妊娠中毒症のリスクが高くなります。妊娠中毒症は、母子ともに危険にさらされることがある妊娠合併症です。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)