9割が女性!!過剰なダイエットへの意識が原因になる「摂食障害」の恐怖

摂食障害とは

●摂食障害には拒食症と過食症がある

食べ過ぎたり食が細ったりということは、誰にでもあります。しかし、食に関連する行動の異常が過度に進み、極端に体重が減少しても食べることを拒んだり、味も分からない状態で食べ物を詰め込んでしまったり、過食した後で嫌悪感に陥って吐いたりという状況になったら、摂食障害という病気の可能性があります。

拒食症では、まずは食事量が減ります。カロリー計算を細かくして低カロリーのものしか食べないようになります。食べた以上のカロリーを消化しようとして運動をします。体重が極端に減って、女性の場合は生理が止まることも少なくありません。

低栄養状態から、さまざまな体調不良が生じます。しかし、「痩せたい!」という思いが強く、栄養失調になっても、本人は自分が精神的に不調をきたしているとは思いません。

過食症は、一旦食べ始めるとやめられない、むちゃ食いをしては吐くといった症状が見られます。食べ過ぎた後では、決まって後悔し、憂うつになるのが特徴です。

拒食症は10代で発症する人が多く、過食症は20代の人に多いとされています。拒食症も過食症も、患者の90%は女性と言われています。

ただし、最近では男性の摂食障害も増えているとの指摘もあります。治療に結びついていないケースを含めると、男女差はもっと少なく、男性1:女性5程度の割合ではないかと言われています。

●拒食タイプから注目された摂食障害

摂食障害ではじめに注目されたのは、拒食症です。女性に見られる極端な食欲不振と痩せ状態については、17世紀後半から報告があります。症例が急速に増えたのは、第二次世界大戦後、特に1960年代以降です。

当初は拒食タイプだけが注目されていました。1970年代になって過食タイプも報告されることが多くなってきました。そして、拒食症と過食症を合わせ、それらをまとめた捉え方として「摂食障害」という言葉が使われるようになりました。

摂食障害として早くから注目されてきたのは拒食症の方ですが、現在の有病率は過食症の方が多いようです。アメリカの調査では、拒食症は若い女性の0.1%前後、過食症は2%前後と推測されています。

●摂食障害者の増加にはテレビの普及が影響している?

日本で拒食症が注目されるようになった1960年代は、テレビが普及してきた時代です。そして、過食症が増えてきたのは、コンビニエンスストアが増えてきた1975年以降と指摘されています。

同様の現象は、日本以外でも見られます。1985年まで電力も無かったフィジー島にテレビ放送が始まってから、ダイエットに関心を持つ若い女性が急増したと言います。

フィジー島でテレビ放送が始まったのは1995年。イギリス、ニュージーランド、アメリカのテレビドラマが見られるようになりました。それ以降フィジー島でも、摂食障害の患者が急増。

テレビ放送が始まって3年後の調査では、十代の女性たちがダイエットに関心を持つようになったことが明らかにされました。そればかりか、約4分の3の少女が自分を太り過ぎだと感じ、15%のティーンエイジャーが体重制限のために嘔吐をしたことがあると回答しています。

世相とも関連しながら増加を続ける摂食障害患者。しかし、医療体制の整備は遅れが目立つことが否めません。そのような指摘を受けた厚生省(現在の厚生労働省)が方針を定めたのは2000年のことです。

摂食障害を国の施策として担う医療対象と位置づけ、正確な診療や研究を行うことを目的とした拠点医療機関を全国に整備するようにしました。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)