何を考えているのか分からない…思春期の子どもたちの心の中ってどうなってる?

何を考えているのか分からない…思春期の子どもたちの心の中ってどうなってる?

幼少期の子どもは、お父さん、お母さんが視界に入らなくなるだけで大泣きをしたり、一人では出来ないことも多く手がかかるもの。しかしひとたび幼稚園や保育園、学校という社会へ飛び出していくと、次第に自我や自立心も芽生えていきます。幼いころのように「あれやって」「これやって」と甘えることも徐々に少なくなり、困ることも減っていくかもしれません。

しかしお父さん、お母さんをはじめとしたご家族や、教育・学校関係者が最も悩むことが多いのが、子ども小学校高学年から中学生、高校生の時期、いわゆる「思春期」です。

思春期の息子や娘を持つ多くのご家族が「子どもが何を考えているか分からない」「子どもの気持ちが理解できない」と感じています。では、親や周りの大人は、思春期の時期の子どもたちにどう接していけばよいのでしょうか。「思春期」や「反抗期」に差し掛かった子どもたちに関する特徴をよく理解しておきましょう。

◆思春期の特徴は?

思春期の子どもたちには、多くの場合共通した言動が見られます。

・常に怒りっぽくなっている
・無気力状態で、何に対しても受動的
・先生、コーチなど、お世話になっている人、権威のある人に強く反抗する
・他人に対して暴力的な振舞いをする
・自らを卑下する
・自傷行為に走る

これらの特徴が見られることは決して珍しいことではありません。「暴力的だ=他人を傷つけたり、殺人を犯すようになるのでは?」など、極端な未来を想像し、周囲が過度な心配や不安を募らせていることが本人に伝われば、さらに状況は悪化しかねません。

◆どうしてそうなってしまうの?

思春期には「自分はいったい誰なのか、何者なのか?」「自分は将来どういった道へ進んでいくのか?」という問題について悩みがちになります。そうして自己を確立していく中で自己否定感を募らせていったり、その一方で自己を誇大評価してしまったりというふらつきが起こります。

思春期の子どもたちは、社会的・思想的な経験が不十分でありながら、今まで考えもしなかったことを新しく考えるようになるために極端な言動や、周囲には一貫性がないように映る言動が見られます。

それらを理解するためには「どういうこと?」「何を考えているの?」と本人に聞かないようにしましょう。というのも、前述の通り「自分が分からない、掴めない」からこそ不安を煽られているのですから、それを「大人が分かるように説明・提示しなさい」というのはあまりに酷なことでしょう。

思春期の子どもたちは、大人にとって理解しづらい存在でありながら、私たちの考えていることについては過敏に察することができます。大人の焦り・緊張・怒り・嘲笑を過敏に察した子どもたちは、さらに強い感情を募らせる可能性があります。

子どもたちに接する際には、あなた自身がぶれず揺れない姿勢を保つことが重要と言えるでしょう。

何よりも親、大人自身、かつては子どもだったころ、思春期を送っているはずです。その時自分が感じていた気持ち、嫌だったこと、うれしかったこと、そういうことに想いを馳せ、子どもから大人へと成長する時期の子どもたちをそっと見守り、温かく寄り添っていく姿勢で接していきたいですね。

(執筆:朔ひづめ, 監修:臨床心理士 鏡元)

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