強迫性障害の原因は性格じゃない!!解明が進む脳の機能異常との関連性とは

強迫性障害と性格の関係

●1980年頃から唱えられるようになったセロトニン異常説

強迫性障害とは、不合理だと分かっていても不安をかき立てられる考えやイメージを払拭することができず、不安を和らげるために無意味に見える行為を何度も繰り返してしまうという病気です。

これまでは、完璧主義な人、秩序を重んじる人、仕事熱心で頑固な人など、強迫性パーソナリティ障害との関連性も指摘されていました。しかし、現在では、パーソナリティ障害との関連性は否定的に捉えられています。現在、強迫性障害は、脳の機能障害と考えるべき病気だと理解されています。

強迫性障害の要因として、脳の機能異常が指摘されだしたのは1980年頃からです。大脳基底核領域における機能異常が指摘されていました。そして、大脳基底核領域の機能異常には、脳内伝達物質の1つであるセロトニンが関与しているのではないかという仮説が立てられました。

強迫性障害の治療でセロトニンの量を適正に調節する薬が使用され、一定の効果を上げていることから、セロトニン説は補強されています。現在の薬物療法としては、セロトニンだけに作用して正常に近い状態に整える働きがあるSSRIが主に使われています。

●画像検査で新たな発見も

強迫性障害の原因として有力なのはセロトニンの調節障害ですが、他にもドーパミンをはじめとする神経伝達物質も関与しているのではないかと研究が進んでいます。

また、最近の画像検査では、大脳基底核領域だけでなく、前頭葉や帯状回の活動性にも異常が見られることが分かってきました。

強迫観念が浮かんで強迫行為を繰り返している時には、脳の特定の部位の糖代謝が異常に高まったり、血流量が増えることなども分かってきています。神経回路の機能に異常が見られるとの報告もあります。

強迫性障害の原因は、まだ研究途上です。しかし、徐々に病気の実態が分かってくるにつれ、判明した事実を元に治療法も工夫されてきています。

●強迫行為に1日1時間以上費やすようなら医療機関を受診しよう

強迫性障害の患者には、自分が何度も確認しないと落ち着かないのは、性格の問題だから仕方ないと考えている人も少なくありません。発症して間もない頃には、多くの人が性格だからとか、自分が気にし過ぎているだけだと考えてしまうようです。

強迫性障害は、多くの場合、突然発症したように感じます。何らかのきっかけがあって発症することが少なくないのですが、自分にとってストレスになったことについては、後日思い当たる程度のことだったりすることも多く、発症した時に「このことがきっかけになった!」と自覚することはあまりありません。そのため、本人にしてみれば、突然発症したように感じられるのです。

突然の発症。自分でも不合理だと分かっているのに不快な考えを拭い去れない、馬鹿げたことをしていると思っていても強迫行為をやめられないという状態に陥っていきます。そして、自分に必死に言い聞かせます。「これは病気なんかじゃない。もともと自分は几帳面な性格なのだ!」と。おかしな振る舞いをする自分を受け入れられない期間が続きます。

もし、強迫行為が1日に1時間以上続くようでしたら、日常生活に支障も出ている状態です。周囲の人も、本人が根深いところのストレスがあるのかもしれないと受け止めてあげて、心療内科や精神科を受診するように勧めてみてください。治療開始が遅れれば遅れるほど、寛解には時間がかかります。強迫性障害は、脳の機能異常による病気です。適切に治療すれば治る病気です。問題が深刻化しないうちに医療機関を受診しましょう。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)