30代で発症する人が増加中!?知っておこう「社交不安障害の基礎知識」

社会不安障害

●30代での発症も増えている

社交的な場面で否定的な評価を受けることに強い不安を感じる社交不安障害。不安障害の中では最も発症年齢が低く、思春期に発症することが多いとされています。

次いで発症しやすいのが30代です。会社では、新入社員として先輩の後をついて歩いていた時期を過ぎ、そろそろ管理職に就こうという年齢です。初めて管理職になって他の社員の前で挨拶しようとし、うまく挨拶ができなかったことをきっかけとして社交不安障害を発症するケースもあります。

女性では出産を経験し、子どもが成長するのに伴って保護者会で役割を担うようになり、他の母親の前で話す機会も多くなります。保護者会でうまく話せなかったことが引き金になって、社交不安障害を発症することもあります。

社会生活で緊張を強いられる社交的な場面が増えるのが30代です。近年では、30代になって社交不安障害を発症する人も増えています。

●社交不安障害によく効くSSRI

社交不安障害には、うつ病の治療薬の1種であるSSRIが非常によく効くと言われています。SSRIは、脳内のセロトニンという物質が減少するのを抑える薬です。感情を安定させる作用があります。もともとはうつ病の治療薬として開発されましたが、うつ病よりも社交不安障害への効果が大きいと言われています。

社交不安障害の患者の8割以上に効いているとされ、日本では2005年に社交不安障害への保険適用が認められました。製薬会社では、国の承認を得るための臨床試験の段階からSSRIの効果をさまざまな方法でPRしてきたので、マスコミを通してSSRIと社交不安障害という病気が広く知られるようになったとの見方もあります。

社交不安障害の治療は、集団でのスピーチを通して自信を培うというような心理療法も併用されますが、SSRIを中心とした薬物療法が効果を上げていると言われています。医療法人和楽会の貝谷久宣医師は、社交不安障害の患者にSSRIを処方する際、「この薬をのむと、これまでは緊張したりドキドキした場面に出ても、それほど感じなくなります。あなたの神経が太くなりますよ。」と説明するそうです。

●治療効果が現れやすい

社交不安障害は性格と誤解されることが多い病気です。そのため、受診に結びつくのが遅れることがあります。しかし、治療すると、比較的短期間に治療効果を実感できる病気です。

多くの患者が治療を開始して3ヶ月も経つと、それまでに社交的な場面で感じていた強い不安が和らいできたのを実感するそうです。社交的な場面に対する自信がついてきて表情が明るくなると言います。

SSRIは、最低1年以上は飲んで緊張感の無い状態での行動を続け、成功体験を積み重ねることが必要です。しかし、成功した行動パターンが身についたら、薬をやめることができます。多くの患者は、治療を開始して1年ほどで完治すると言われています。

風鳴会 成城墨岡クリニック院長墨岡孝医師によると、一度完治すると、再発することはほとんど無いそうです。

社交不安障害に罹って自殺を考えたことがある人は少なくないと言います。しかし、社交不安障害は適切な治療を受けると、完治する可能性が高い病気です。通学や仕事も元通りにできる希望が、治療の先に見えるのです。社交的な場面で強い不安を自覚したら、心療内科や精神科を受診しましょう。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)