約13%の人が発症する!?うつ病や自殺とも関係する「社交不安障害」とは

社交不安障害とは

●社会不安障害から社交不安障害へと病名変更

不安障害の1つに「社交不安障害」という病気があります。生涯有病率は3~13%。日本国内には、推定で約300万人もの患者がいると言われています。けっして珍しい病気ではないので、ネットに取り上げられることも多い病気です。

ネットで調べると、2つの病名が使われていることがあります。「社会不安障害」という病名と「社交不安障害」という病名です。この2つは同じ病気です。

英語では「 Social Anxiety Disorder 」。長らく英語を直訳した「社会不安障害」という病名が使用されてきました。しかし、「社会不安」という言葉は誤解が生じやすいとの理由で、2008年に日本精神神経学会において病名変更がなされました。

SADは社交場面で否定的な評価を受けることに強い不安を感じる病気です。そこで、実態により近い「社交」という言葉を盛り込んで「社交不安障害」という名称に変更しました。今では「社交不安障害」という病名が使われています。

●社交不安障害と恥ずかしがり屋とは違う

社交的な場面では、恥ずかしいという感情を抱くことはむしろ普通です。しかし、恥ずかしがり屋と社交不安障害とは違います。

恥ずかしくても、その場に参加して徐々に慣れていくのが恥ずかしがり屋です。恥ずかしいと感じても特別な身体症状は起きないのが恥ずかしがり屋です。恥ずかしがり屋の人は、自分の感じる恥ずかしさが他の人よりも強いという自覚はありません。その場に参加でき、徐々に慣れていくためです。

社交不安障害の人は、決まった状況では常に強い不安を感じます。強い不安から赤面、ふるえ、吐き気などの身体症状が出ます。決まった状況で不安が強まり、身体症状が現れるため、社交不安障害に罹ると、自分の感じる恥ずかしさが他の人より強いとの自覚が芽生えます。

社交不安障害では、不安を自覚し、不安から身を守ろうとして、社交的な場面に立ち会うのを避けるようになります。そのため、次第に日常生活に支障をきたすようになります。

●社交不安障害からうつ病や自殺の可能性も

社交不安障害の症状が最も現れやすい状況は、見知らぬ人や多少知っている程度の人と会話をするという場面、人前でスピーチをしたり会議で発言するという場面です。

次いで多いのは、社会的に自分よりも高い立場の人と面談するという場面、他の人がいるところで電話を取ったり文字を書いたりする場面、パーティに参加するという場面などです。

このような場面で、社交不安障害の人は、「悪い評価を受けるのではないか?」「周囲から注目されるようなことをして、恥ずかしい思いをするのではないか?」と考えて強い不安を抱きます。

不安が慢性化すると、うつ病を発症することもあります。社交不安障害を発症して自殺を考えたことがある人の割合は、うつ病の人よりも多いと言われています。

社交不安障害を発症しやすいのは、15歳くらいの思春期だとされています。もっと年齢が上がってから発症するケースもありますが、特に多いのは思春期です。社交不安障害は、不安障害の中では最も発症年齢が低い病気とされています。

社交不安障害は性格ではありません。精神療法や薬物療法によって症状が改善する病気です。社交的な場面で自覚できる強い不安を感じるようなら、社交不安障害を疑って病院を受診するのが良いでしょう。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)