将来を心配する病気?うつ病を併発することも多い「全般性不安障害」とは

全般性不安障害とは

●全般性不安障害の特徴は将来への不安?

あらゆることが不安を呼び覚ます全般性不安障害。過去のことも現在のことももちろん不安材料ですが、全般性不安障害の人が最も強い不安を抱くのは、将来のことです。「いつまでも悪いことが続くのではないか?」「将来はもっと良くないことが起こるのではないか?」などの将来への過度な不安から、生活に支障が及ぼしてしまいます。

将来の不安は誰しも抱くものでしょう。社会がめまぐるしい勢いで変化し、ニュースでは不安をかき立てるようなことが連日報道されている今日、将来に明るい展望を迷うことなく持つことができる人は、少ないのではないでしょうか。しかし、多くの人は過剰な不安を将来に対して抱きません。将来は不確定であり、良い方向に変化する可能性があるからです。

不確定ゆえに明るい将来もありうるということを考えから除外してしまうのが、全般性不安障害の人です。全般性不安障害は、将来を心配する病気とも言えるでしょう。

●全般生不安障害患者の6割以上は、うつ病を併発している

全般性不安障害に罹ると、現状を変える決心がつきにくくなります。現状と異なる環境への不安が非常に強いからです。不安障害のために日常生活に困難を来していても、精神科を受診する決心がつきません。メンタル疾患と診断された時の職場の反応を悪い方向にしか予測できないためです。無理を重ねて働き続け、うつ病を併発して自殺未遂を起こし、ようやく退職の決心をする人もいます。

全般性不安障害の患者の6割以上は、すでにうつ病を併発しているか、将来うつ病を併発するだろうと言われています。全般性不安障害の場合、非常に細かく気を使う人、心配性の人という印象を抱くことはあっても、本人が抱える不安の大きさに周囲が気づくことは少ないようです。本人も不安を抱いて生活している期間が長いため、自分が不安をコントロールできない状態に陥っていることになかなか気づきません。本格的な治療を始めるのに適した時期を逸して症状を悪化させてしまっている患者は少なくないようです。

そのため、本格的な治療を受けるようになってから寛解するまでに長期間を要するケースも少なくないようです。療養生活に入ると、将来への不安から復職をあせる人も多いようです。休職して1ヶ月足らずで、復職に向けて資格取得のための講習を受けて体調を崩す人もいます。治療中の生活は担当医師と相談しながら決めて行くことが大切です。

●寛解は螺旋階段を昇るようなもの

全般性不安障害は、一気に症状が軽減される病気ではありません。長年蓄積された不安からの脱却には、自分の考え方を変えていくことが不可欠です。一朝一夕でできることではありません。

過換気症候群が起こらなくなっても、何か将来に不安を抱くようなことが起こると、一気に不安が募って激しく落ち込んだりイライラしたりします。自分では、その反応が病的なものだと自覚しにくいことが多いようです。

寛解は螺旋階段を昇るように徐々に進んでいきます。ぶり返しながら、次第に不安との折り合いのつけ方を身につけていきます。全般性不安障害は寛解する病気です。ただし、回復には時間が必要です。不安と折り合いをつけられる日が来ることを確信し、自分が「今」できることに着実に取り組むことが寛解への近道です。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)