「子どもの将来のために 」アスペルガー症候群の特徴と接し方

アスペルガー症候群の子どもへの接し方

●検診で注意を促されたら

最近は3歳児検診などで発達障害の可能性が指摘されることも増えてきました。逆さバイバイをしたり、一人遊びを好んで同じ年頃の子どもが側で遊んでいてもうまく遊びの輪に入れなかったりという様子から発達障害を疑われることもあります。

発達障害の中でもアスペルガー症候群は、知的な遅れを伴わないために発見が遅れる傾向があります。しかし、特定のことに強いこだわりを示したり、会話のキャッチボールがうまくできないようなら、アスペルガー症候群を疑うことも必要でしょう。

そのような様子から検診でアスペルガー症候群の可能性を指摘されたら、早期に療育を始めることが大切です。保護者の中には自分の子どもが発達障害であると考えたくないとの思いから診断を受けることに強い拒否感を抱く人もいます。しかし、集団生活に馴染めずに困るのは子ども自身です。集団生活のルールを身につけることができないと、子どもは自暴自棄に陥ります。うつ病を発症する子どもには、発達障害の子どもが少なくないと指摘されています。

●特性を認めることと注意しないこととは別

わが子が発達障害と診断されると、全ての行動を特性だからとして、問題がある行動に一切注意をしない保護者もいます。みんなと一緒に話を聞けない、自分が話したい時は他人が話していても勝手に割り込む、一切指示を受け入れないというような行動に走っても「アスペルガー症候群だから仕方ない」として、保育園や小学校の先生に「障害だから、そのことを理解して受け止めてほしい」と要望する保護者もいます。

しかし、そのような態度は障害に対する偏見を助長するだけです。早期に療育を受けることで、親もアスペルガー症候群の子どもにふさわしい接し方を学習し、親が身近で支えることが不可欠です。支えるというのは、なんでも子どもがしたいようにさせるということではありません。子どもが将来社会に出て困らない行動様式を身につけるように援助していくことです。

アスペルガー症候群の子どもは暗黙のルールが分かりません。暗黙のルールを明文化して教えることが大切です。アスペルガー症候群の子どもは知的な遅れはありません。明文化して教えれば、素直に受け入れます。注意することと感情に任せて怒ることは異なります。怒ってはいけません。怒りの感情にアスペルガー症候群の子どもの注意が向いてしまい、指示が伝わりにくくなります。丁寧に冷静に社会の暗黙のルールを教えましょう

●相手の感情を教えることも大切

アスペルガー症候群の子どもは、相手の表情から感情を理解するのが苦手です。感情も言葉で理解させましょう。思ったことをストレートに言いがちなアスペルガー症候群の子どもは、しばしば相手の感情を害するようなことを悪気なしに言ってしまいます。そのような言動があったら、保護者が注意しましょう。

「そのようなことを言うと、相手の人は不愉快になるから、言わないようにしなさい。」と、相手の反応と望ましい行動をセットにして言葉で伝えることが大切です。「そんなこと、言ったらダメでしょ!」と言うだけでは、どうしてダメなのかが分かりません。相手の反応を教えることが必要です。「そういうことを言ったら、相手の人はどう思うかな?」というような問いかけは、アスペルガー症候群の子どもを困惑させるだけです。どう思うかが分からないから口にしてしまうわけです。

社会に受け入れられない言動は、理由をきちんと説明して修正しましょう。修正する際には、望ましい行動をできれば肯定表現で示すと良いでしょう。「走ったらダメ!」と言うよりも「静かに歩きなさい」と言う方が指示がはっきり伝わります。アスペルガー症候群の子どもは知的な遅れはありません。言葉で明確に指示されれば、きちんと受け入れる能力があります。丁寧に冷静に社会の暗黙のルールを教えることが、アスペルガー症候群の子どもの将来を明るくします

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)