中年女性の毎日はうつ病と隣り合わせ!?知っておきたい2つの症状

中年女性の毎日はうつ病と隣り合わせ!?知っておきたい2つの症状

●更年期うつに用心しましょう

40~50歳代の女性は、思春期の女性と同じくらいにデリケートな心理状態にあると言われています。はっきりとした理由は無いのに涙もろくなったり、気持ちが落ち込んだりすることがあります。人と会うのが億劫になり、ご近所の人が外に出ていない時を見計らって庭に出るというようなこともあります。なにげない日常会話が辛くなったりします。

40~50歳代は、成人期に活躍していた卵巣機能がだんだんと低下し、生理不順を経て閉経を迎える時期です。更年期障害が見られるのが40~50歳代です。更年期は、エストロゲンの分泌量が急激に減少してしまうため、ホルモンのバランスが乱れやすくなります。ホルモンのバランスが乱れると、ストレスに弱くなって感情のコントロールが難しくなります。なんとなく気分が晴れない、落ち込みが激しいという症状が現れます。「更年期うつ」です。

更年期に差し掛かった人が全員更年期障害を発症するわけではありません。自覚症状があまり無い程度で更年期をやり過ごす人もいます。しかし、中には体調が大きく変化し、気持ちが沈んでうつ病を発症する人もいます

●中年はライフスタイルも大きく変化

更年期障害が起こる年配になると、他にも病気の心配が生じやすくなります。心臓病や癌、緑内障など、生活の質を下げる病気を発症するリスクが高まるのが中年です。

また、子どもの自立、親の介護など、それまでのライフスタイルが大きく変わる出来事が次々と生じます。育児に頑張っていた人ほど、子どもの自立は嬉しいばかりでなく、気力の萎えを感じさせることでしょう。自分を必要としてくれる人間がいなくなるという寂しさを感じるかもしれません。

高齢になった実の親や義理の親の介護も始まることでしょう。介護負担は誰か1人に集中しやすいのが実情です。全員が負担を均等に配分するということはなかなか望めません。夫の両親の世話だけでなく、実家の両親の世話もしなくてはいけない中年女性は少なくありません。介護は、毎日少しずつ自分がすり減らされていく作業です。少しずつ溜まっていく憂うつ。相談する人間もなかなか見つからないことがあります。介護生活でストレスが溜まり、うつ病を発症するケースは少なくありません。

●毎日の憂うつを和らげるちょっとした工夫

更年期うつや介護うつ。中年女性の毎日はうつ病の発症と隣り合わせです。デリケートな時期を上手に乗り越えたいものです。

介護うつに陥っている人は、介護負担を減らすことが大切です。たとえば、親が認知症に罹って介護が必要になったのなら、家族会が運営している電話相談を利用してみましょう。症状に応じた具体的なアドバイスをもらえます。困りごとを行政サービスにつなぐ手順も教えてもらえます。何よりも同じ経験をした人にじっくりと話を聞いてもらえるのが、大きな安心を生みます。自分一人で抱え込まないことが大切です。

また、毎日の食事でセロトニンを作る工夫をしましょう。うつ病発症には脳内のセロトニン不足が大きく関係していると言われています。セロトニンの材料の一つにトリプトファンというアミノ酸があります。トリプトファンは、肉、プロセスチーズ、アーモンド、牛乳などに多く含まれています。トリプトファンとビタミンB6が組み合わさるとセロトニンが作られるとされています。トリプトファンを多く含む食品やビタミンB6を積極的に摂ってセロトニン不足を防ぎたいものです。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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