大切な人がうつ病に ご家族の方に気をつけてほしい3つのこと

うつ病と接し方

●お勧めしたい2つの言葉掛け

うつ病をはじめとしたメンタル疾患の治療をしている時には、健康な時以上に家族の言葉に敏感に反応します。家族以外の人にはできるだけ平常通りのところを見せなくてはと気を張っているだけに、家庭内では疲れが溜まってしまうためかもしれません。健康な時には何気なく聞き流せる言葉にひどく傷ついてしまい、不眠や食欲不振が一層深刻なものになることもあります。

うつ病の治療をしている人が家族にいる時、最も身近な存在である家族はどのように接したら良いのでしょうか?不必要に気を使うことはありません。弱っている心にそっと寄り添うことが大切です

まずは、休息を勧めましょう。うつ病に苦しむ人は休むことに強い抵抗感と罪悪感を抱いています。早く復帰したいと焦っています。焦りを和らげてあげることが大切です。「早く良くなって職場に戻りたいですよね。」と本人の気持ちを肯定しましょう。そのうえで、「だから、」と続けましょう。「でも、」と否定的な言葉に続けない配慮が大切です。現状を否定的に捉える表現は本人を追い詰めます。「だから、早く良くなれるように、今はしっかりと休んで治療しましょう。」というように現状を肯定的に受け止め、今後の見通しにつなげる表現が好ましいと言えます。

また、「きっと治りますよ。」というような希望を与える言葉掛けも大切です。うつ病は不治の病いではありません。しかし、うつ病で治療している時には「いつになったら元の自分に戻れるのだろう?もしかしたら、もう前の自分には戻れないのではないか⁉︎」という絶望に陥ることも少なくありません。

希望を与え、不安を和らげる言葉は、治療の効果に希望を持てなくなっている時に大きな支えとなります。家族の言葉なら、一層心にしみることでしょう。

●してはいけない3つの接し方

1.病状や本人の思いを否定するようなことを言わないようにしましょう。

「誰だって辛いことはある。」「甘えたことを言わない。」「早く良くなってくれないと困る。」という類のことはけっして言わないようにしてください。

限界を超えてしまって苦しんでいるのですから、本人の辛さを受け止めることが大切です。できないのは甘えているわけではありません。また、本人も早く復帰したいと焦っています。急かすような言葉は本人を追い詰め、病状を悪化させます

2.薬や担当医への不信感を表現しないようにしましょう。

メンタル疾患の治療には長時間掛かります。直線的に良くなるものでもありません。紆余曲折を経ながら徐々に良くなっていくものです。

回復が思わしくないと不安に思うこともしばしばあります。本人が一番悩んでいます。「もしかしたら、もう治らないのではないか?」という不安に苛まれることも少なくありません。家族がその不安を増幅させないことが大切です。

また、薬をやめさせるようなことはけっして言わないようにしましょう。薬の副作用が現れたら、すぐに担当医に相談して量や種類を変更してもらうことが必要でしょう。しかし、うつ病は気合だけで治る病気ではありません。必要な薬を適量使うことは不可欠です。メンタル疾患の治療薬に対しては偏見が根深くあるようですが、担当医と密接に連絡をとりながら、適切な薬の力を借りることも必要です。

3.運動や旅行を無理やり勧めないようにしましょう。

うつ病の治療では休息がとても大切です。うつ病に罹ると楽しむことができなくなります。楽しむ力が湧いてこないのです。運動や旅行で楽しいと感じるにはかなりのメンタルパワーが必要です。その力が戻っていないうちに運動や旅行を無理強いすると、症状が悪化しかねません。

気晴らしができるには時間がかかるのです。健康な人には分かりづらいところで苦しんでいる本人の辛さをそっと見守ってあげましょう

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)