発達障害の理解を広めたい 自閉症児養育ブログをご紹介~『手をつないで行こう』~

発達障害の理解を広めたい 自閉症児養育ブログをご紹介~『手をつないで行こう』~

●思春期にさしかかった男の子ならではの悩み

「手をつないで行こう」は12歳の男女の双子を育てるツヨママさんのブログです。言葉の無い重度自閉症のツヨ。ツヨママは、絵カード、手話、マカトンを使ってツヨと会話します。

ツヨは自閉症専門の特別支援学校の小学6年生。こだわりと儀式的な習慣から逃れられないツヨ。貰った大量のみかんがきっかけになってツヨのこだわりに火がついてしまいます。

「昨日と同じものを来る日も来る日も食べたい、行動したい、物や人の位置も同じにしたい。そしてその量がどんどん増えていく。」

ツヨのこだわりは非常に強くなっていきます。日常生活にはなはだしい支障が生じるようになり、入院をすることになります。そこで、医師から「強度行動障害の程度まで、こだわりが強い」と指摘されます。

思春期にさしかかった男の子が強い意思をもってこだわりを通そうとした時、母親ではどうすることもできない状態に陥ることがあるということを知らされます。

●入院中の様子

面会に初めて行った時のこと。ツヨママはツヨの病室に入れません。ツヨにとってそこはママがいる場所ではないのです。激しく興奮して力一杯ママを遠くに押し出すツヨ。結局、ママは諦めて帰ります。

一時帰宅の練習も失敗が繰り返されます。場所のこだわりが強くなっているツヨ。病院から出ることができません。「強い意志をもった12歳の男子を、もう無理やりになんて移動させることは不可能です。言って聞かせることもできない。」ツヨママのため息が聞こえてきそうな一節です。

自閉症児も定型発達の子どもと同じくどんどん成長していきます。男の子なら、力も強くなります。興奮した時の力は、母親ではどうすることもできないのが実情です。自閉症児が思春期にさしかかった時の支援が未だ十分ではないことを思い知らされます。

●定型発達のきょうだいコト

ツヨにはコトというきょうだいがいます。コトは定型発達の子どもです。ツヨママは一度悩みます。「きょうだいの協力をどこまでさせるか?」ということについてです。最初、コトに協力してもらおうと思います。しかし、すぐにその考えを改めます。

「コトには普通に生活する権利があるから。」と思ったからです。困った時に助け合うのは大切だけれど、どちらかが我慢を続ける関係であってはいけないとツヨママは思い直します。障害があろうがなかろうが、きょうだいは「フェア」でないといけないと思うツヨママ。

そうしたママの様子をコトはしっかり見ています。そして、自分なりに障害をもつツヨを受け入れていきます。中学に入学したコトの一言がツヨママの心にしみ込みます。

「いつまでぼやいてもしょうがないし、楽しむことにする。」コトの成長に、ホッと救われるのはツヨママだけではないでしょう。

(執筆:木下書子)

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