増えてきたADHD児養育ブログ~『ADHDの我が子と向き合う』をご紹介~

増えてきたADHD児養育ブログ~『ADHDの我が子と向き合う』をご紹介~

●増えるADHD関連ブログ

ADHD関連のブログが近年少しずつ増えてきました。ブログの管理人は、ADHD当事者の男性や女性、ADHD児の養育者です。発達障害者を支援する動きが行政に見られるようになったとはいえ、当事者や養育者にしか分からない日常はたくさんあります。

自分自身が困っていること、我が子のことで悩んでいること、困ったり悩んだりしながら工夫していること。そうした日々の工夫が同じ診断名で悩む誰かの役に立つならと記されるブログの数々。

実践的な片付け方の工夫を記しているブログもあります。治療薬の効き目と断薬してみての症状の変化をつぶさに記してあるブログもあります。ADHDを切実な現実として受け止め、困らない日常生活を手に入れようという思いが伝わってきます。

専門家の助言だけでは今ひとつ行動に踏み切れなかったという人も、ADHD当事者やADHDの子どもを育てる養育者の発言には大きな力を貰えるのではないでしょうか。

●『ADHDの我が子と向き合う』をご紹介

そうしたブログの1つに『ADHDの我が子と向き合う』があります。ブログの管理人りんりんは、ADHD児のお母さん。5歳の11月にADHDと診断された息子さんと共に歩む日々を綴っています。

幼い我が子がADHDだと診断された時、りんりんは自分を責めたり、愛しているはずの我が子を責めたり、周囲を責めたりします。印象深いのは、周囲の「心配ないよ。」という言葉にかえって傷つくところです。「こんなに困っているのに、なぜみんな『心配ないよ。』って言うの???」と、りんりんは記します。安易な「心配ないよ。」という言葉が当事者を追い詰めている現実を知らされます。

孫が発達障害だと打ち明けられたりんりんのご両親は、否定したり絶望したりします。最初のショックが治った後、いろいろ勉強してくれますが、出された結論は「発達障害などというのは、だらしがない、怠け者の言い訳だ。」という言葉。心にトゲが突き刺さったように感じるりんりん。ADHD児の我が子との二人三脚の人生を歩む決意を固めていきます。

りんりんは言います。「お母さんは悪くないんだよ」と。お母さんだって人間。体調が悪いこともあるだろうし、ついつい子どもに向かって怒りすぎてしまうこともあるだろう。それでいいのだと。大切なのはその後。「気持ちが落ち着いて、子どもに悪いことしたなぁって思ったら、謝れば良いのです。心から謝って、許しを請い、愛していることを伝えましょう。」ADHD児の子育てに悪戦苦闘している養育者の心に真っ直ぐに届くエールです。

発達障害を乗り越えるために「一緒にがんばろうね。」と手を差し伸べるりんりん。その手の先には幼い息子さんだけではなく、ADHD児を育てる多くの養育者がいると感じさせるブログです。

(執筆:木下書子)

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