『何度言ったら分かるの⁉︎』って言わないで…ADHDの子どもへの親の関わり方

『何度言ったら分かるの⁉︎』って言わないで…ADHDの子どもへの親の関わり方

●子どものADHDの主な症状

子どものADHDの主な症状には以下のようなものがあります。

・気が散りやすい
・作業を順序だてて行うことができない
・なくし物や忘れ物が多い
・順番を待つことが難しい
・じっとしていられない
・おしゃべりがひどい

同じくらいの年頃の子どもたちと比べてこのような傾向がはっきりと認められたら、お子さんはADHDかもしれません。

ごく小さいうちには「まだ幼いから仕方ない」と思っていても、小学校に入学する前後くらいになると、不注意、衝動性、多動性が他の子どもよりも目立っていることに気づき、「どうしてうちの子は⁉︎」と感じるようになることが多いようです。

そのような時には発達障害者支援センターに相談してみましょう。

ADHDかどうかを診断してくれる病院を紹介してもらえます。

また、ADHDと診断された時には相談に乗ってもらえます。

●何度も同じ注意をしているのにできないのはなぜ?

ADHDのお子さんを育てていて保護者が最も頭を悩ませるのが、注意しても同じ失敗を繰り返すということのようです。

毎回同じ注意をしているのにできない。

「私の言うことを聞いているのだろうか?」「わざとしないのではないか⁉︎」そうした思いに駆られ、「何度言ったら分かるの!」と、思わず手を上げてしまい、自己嫌悪に陥る養育者は少なくないようです。

ADHDの子どもはしばしば同じ間違いを繰り返します。

しかし、それはしないのではありません。できないのです。

ADHDの子どもはワーキングメモリーが少ない傾向にあります。

ワーキングメモリーとは、ものごとを成し遂げようとする時に必要な情報を一時的に記憶しておく脳の働きのことです。

ADHDの子どもは、それまでに経験したことを元に考えることが苦手です。その場の情報だけで行動することが多いのです。

毎回、初めての経験をしているようなものです。

●ADHDの子どもに指示する時に実践したい3つのこと

ADHDの子どもに指示を出す時には次の3つを実践してみましょう。

1.「やめなさい」「だめ」「何度言ったら分かるの⁉︎」といった叱り言葉は使わないようにしましょう。

こうした言葉には具体的な指示が含まれていません。具体的な指示が含まれていないと、ADHDの子どもには、自分がどうしたら良いのかが分かりません。

「走ったらだめじゃない!」ではなく、「歩きましょうね」と言うようにしましょう。

その場で求められる行動を具体的に伝えてください。

2.できたことをその場で褒めましょう。

ADHDの子どもは、同じ間違いを繰り返して叱られることが多いため、自己評価が低くなりがちです。

できて当たり前と思わずに、些細なことでもできた時には褒めてあげましょう。

褒めてあげるのはできた直後が効果的です。

時間が経つと、効果はかなり落ちてしまいます。

3.トークン(代用貨幣)表を活用しましょう。

子どもが適切な行動をとれたら、シールやスタンプなどのトークン(代用貨幣)をあげると良いでしょう。

トークン表にまとめ、10個貯まったら好きな物と交換できる、好きなことをしてあげるというようにすると、子どものやる気を高めやすくなります。

(執筆:木下書子, 監修:臨床心理士 鏡元)

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