●発達障害の原因としてあげられてきた因子
我が子が発達障害だと分かった時、多くの保護者の方は「自分のしつけ方が悪かったからではないか?」と悩まれるかもしれません。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の原因が親のしつけの悪さにあると言われていたこともありましたが、現在ではそうした考え方が誤解であることは広く知られています。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の原因として、注意力や判断力をつかさどる脳内の大脳と呼ばれる部分で情報伝達がうまく機能していない可能性が指摘されています。
発達障害の原因は脳の機能障害によるものとの見方が一般的です。
脳の機能に障害を引き起こす原因としては、さまざまなものがあげられてきました。
遺伝子異常、染色体異常、体内環境の異常、周産期の異常、生まれた直後の病気や環境などが、発達障害の原因ではないかと指摘され、研究されています。
現在有力なのは、遺伝子異常、染色体異常といった遺伝的な異常が原因なのではないかという見解です。
●環境要因として指摘されている殺虫剤
発達障害の原因として有力視されているのは遺伝の異常です。
ただし、遺伝の問題だと強調しすぎることにも異論も唱えられています。
発達障害の研究の流れは遺伝的なものから環境要因へと移りつつあるとする見方もあります。
発達障害の環境要因として近年注目されているのが殺虫剤です。
広く使用されているネオニコチノイド系と呼ばれる殺虫剤のうち、「アセタミプリド」と「イミダクロプリド」という2種類の物質は、脳の発達を阻害し、人間の健康に危険を及ぼす恐れがあると指摘されています。
これらの殺虫剤は、神経系の伝達物質アセチルコリンによる情報伝達を阻害すると言われています。
濃度の低いネオニコチノイド系の殺虫剤を使用する場合には、人などの哺乳類への毒性は比較的低いとされています。
ネオニコチノイド系の殺虫剤の使用は、注意欠陥多動性障害(ADHD)に似た症状を発生する場合があるとされています。
殺虫剤を使用する際には、すこし気にかけてみてはいかがでしょうか。
●妊娠中に注意したい喫煙
発達障害は、生まれてくる前に起きたさまざまなことが複雑に絡み合って発症すると考えられています。
生まれてくる前に起きたことが、脳の発達段階で脳内の情報を伝達する機能に障害をもたらしたというのが一般的な見方です。
生まれてくる前の出来事の一つに、妊娠中の喫煙の悪影響があげられています。
妊娠中に喫煙していると、注意欠陥多動性障害(ADHD)の子供が生まれる確率が約2倍に増えると言われています。
自分では喫煙していなくても、周囲の喫煙者の副流煙を吸ってしまう受動喫煙の危険性もあります。
妊娠中はできるだけ喫煙している人に近づかないように注意してください。
また、家族の中に喫煙者がいる場合には、全員で禁煙するようにしましょう。
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