自分の気持ちをどう表現していいかわからない。けれど誰かに気付いて欲しいという思い、そして自分の気持ちをコントロールできない憤りや悲しみが抑えきれない時に、リストカットをしてしまうことがあります。
手首を切るという行為は自ら命を絶つ行為として思われがちですが、リストカットをしている人すべてが必ずしも死のうと思ってリストカットをするわけではありません。
リストカットをしてしまう本人はとても苦しんでいます。死にたいという気持ちがまったくないわけではなく、希死念慮、自殺願望がある人も数多くいます。
●リストカットの心理
リストカットをしてしまう原因には、死んでしまいたい、消えてしまいたい、自分なんて大嫌いといった自己嫌悪の心理があります。
イライラしたり、自分を責めてしまうときに、自分を傷つける行為によって、その死にたいといった衝動を抑えようとするのです。
リストカットをするという行為は、自分自信でも気づかないほどの小さな生きることへの執着と言えるかもしれません。
●安心したいという心理
リストカットをする心理は、自殺願望があることを周りの人にアピールしたい、表現したいということではありません。
自分を傷つけることに走ってしまう背景には、生きるのが辛い、でも死にたくない、どうしたらいいかわからないといった複雑な心理が隠されています。
リストカットをして、自分の血が流れるのを見たとき、少し安心すると言う人もいます。
心の見えない傷を、自分の体を傷つけて、目に見えた傷として確認できることで安心を感じられるからなのかもしれません。
●心の傷を体の傷で表そうとする心理
目では見えない心の傷を、自分の体に傷をつけることによって目に見える傷にします。
この目に見える傷にするという行為によって、自分はこれだけ深く傷ついているんだと、目に見えてわかるようになることで安心するのです。
自分を傷つけるという行為は簡単なことではありませんが、一度やってしまうとなかなか抜け出せなくなります。
リストカットの衝動は簡単に消えるものではなく、ある意味クセになってしまうこともあるのです。
●自身の気持ちに気づいて欲しいという心理
リストカットをしてしまう原因のひとつは、人間関係から来る悩みが自分の中で抱えきれなくなって爆発してしまうときに起こると考えられています。
それは家族との関係であったり、友人や恋人との関係であったりと様々ですが、どうにかしてこの気持ちに気付いて欲しいという心理が歪んだ形に表現されてしまうものでもあります。
自分の中で抱えきれない思いを、リストカットしたときの痛みや傷で表すのです。
それはとても悲しい、辛い表現方法です。
リストカットをするすべての人に、傷に気付いて欲しいという心理があるとは言い切れません。
知られるのは嫌だと思っている人もいらっしゃるでしょう。
また、傷を見せて同情してほしいわけでは全くない、違うと言い切る方もいらっしゃると思います。
何にせよ、リストカットをしてしまうという心理とその傷は、その人自身の心の中の叫びが表されたものであることに違いはありません。
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