大学講師はなぜ全裸になったのか?臨床心理士が境界性人格障害に関連して解説します。

大学講師はなぜ全裸になったのか?臨床心理士が境界性人格障害に関連して解説します。

大正大学にて、「本学非常勤講師による不適切な行動について」として8日付でホームページに公表した情報がちょっとした騒動になっているようです。

本件においては、なぜ全裸になったのか?どういう関係なのか?どういう実態があったのかなど、様々な推察、意見があるようですが、公表されている情報を基にして、臨床心理士としての見解を少しお話しさせて頂ければと思います。詳しいことはもちろん良くわかりませんが、少しでも何らかの考えの一つとして参考にして頂ければ幸いです。

まず、こちらが大学のホームページにて公表されている情報です。リンク先を記載致します。

本学非常勤講師による不適切な行動について(報告)

今回の事件に関心をもっている方も多く、いろいろとインターネット上でも考察されている方もいらっしゃるようです。

情報が少ないので推測することしかできませんが、まずこの男性は、どうやらこういった趣味があったというわけではなくて、アルコールや薬物の影響もなく、性的意図もないようです。

ではなぜ彼はこのような行動に出てしまったのでしょうか。

精神的な疾患があったのでしょうか。ストレス?心の闇?

私はどれも違うと考えています。

今回の問題はおそらく、相手の女性に何かしらの原因もあるのではないかなと考えています。

大学のページにはこうあります。

この学生は日頃より情緒不安定な面があり、当該講師の言葉によると、感情が高まると突発的にどんな行動を取るか分からず、彼女の言う通りにしないと収まらない。

これは、人格障害、それも境界性人格障害の人によく見られる性格傾向です。
境界性人格障害とは、非常に衝動的で、感情の起伏が激しく、そのため対人関係がいつも不安定になってしまうような人のことです。これは一般的な性格の方でもある程度はあるかもしれませんが、この人たちは感情をコントロールする力が弱いため、ときに暴力的だったり、自殺を図ったりすることもあります。

この人格障害は、成年早期に始まって、過剰な理想化と不適切な自己評価を持ち、それによって情緒が安定せず、衝動的で、ときに不安定な対人関係に入ってしまうことが特徴的です。しかし、本人自身は慢性的な空虚感を感じていることが多く、自殺の脅しや自らを傷付ける行為を繰り返すことも多いです。また、特徴として人格的に安定を欠いているため,そのためいつもイライラしたり抑うつ状態であることが多いです。また、対人関係をうまくコントロールすることができないために、同じ相手に対してやさしく接していたかと思うと、突然豹変して攻撃的な態度に出たりしてしまいます。

こういった方は見捨てられ不安が強く、自己肯定感が弱く、その人が自分から離れないか、そして自分に価値があるかどうかどうかを試す要求行動をよくとります。
この要求行動は、今回のような社会的逸脱行動になることも少なくなく、そういった無理な要求を相手が答えることで自分の価値や存在を再確認するのです。

さて、今回の男性のパートナーがこういった人格特性をもっていて、そのための要求行動によって、今回の事件が起きたと考えると、納得できることは多いです。
この男性に自分の要求をかなえさせる、そしてそれによって自分の存在を確認する。
そしてその要求は誰にでもできるものではダメです。
自分の人生を投げうつほどのことをさせてこそ初めて自分の価値が認識できる、そう考えています。また、こういった方は、大変魅力的であることも少なくありません。

彼女達は自分の存在価値がかかっている(と思い込んでいる)わけですから、文字通り命をかけて自分の容姿や行動様式、言動等を使って他者と関わろうとします。
ですので、あるときにはドラマやアニメのヒロインのような振る舞いをします。
しかし一方では、感情的で逸脱行動も辞さない暴君のような振る舞いをします。

そしてこの不安定さこそがまた、魅力の一端となってもいるのです。
さて、今回の全裸になれという要求は、普通はなかなか言う通りにはできない要求です。
しかし自分が最も大切に思う、そして情緒不安定で何をするかわからない女性が、命をかけてその要求をしてきたらどうでしょう。

言うことを聞いてくれなかったら別れる、自殺する、他の男性と関係を持つ、手首を切る。

そしてその要求を彼女がほぼ確実にするだろうと予測できたら?
その結果が今回の事件となってしまったのではないかなと考えます。

あくまでも報道からの情報のみですが、全裸になったこと、中年男性、年齢差などといったところばかりに焦点があてられるのではなく、臨床心理士としては、境界性パーソナリティ障害という障害から考察してみました。少しでもお役に立てるところがあれば幸いです。

臨床心理士 鏡元(かがみげん)

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